“新”逓増定期保険、一時所得として課税対象になる可能性
数日前に、節税効果があるとして中小企業の経営者に人気の保険商品を巡って、金融庁がマニュライフ生命に立ち入り検査を実施したという記事をみて、そういえばと思い出したのが、T&A mater No.916で取り上げられていた「”新”逓増保険、一時所得課税対象も」という記事です。
“名義変更プラン”と呼ばれた逓増定期保険が、通達改正によって節税メリットが消失していますが、この抜け穴などとして、”新”逓増定期保険が一部経済誌などで紹介されているとのことです。
これは「まずは名義変更プランと同様、法人から個人に名義を変更し、個人が1か月分の保険朗を支払う。名義変更プランと異なるのはここから先であり、解約返戻率が跳ね上がったタイミングで、限度額いっぱいの契約者貸付を受ける。契約者貸付は解約返戻金を担保にした借入であり解約とは異なるため。受け取った借入金に対して課税は発生しないと説明されている。」とのことです。
その後、「残った解約返戻金を元手に「払済終身保険」に変更する。この保険の変更により契約者貸付の利息は発生しなくなるとし、「事実上の部分解約だが、課税対象とはみなされない」との理屈が展開されている」とされています。
この点について、上記の記事では「しかし、この新逓増定期保険の保険約款を見ると、保険内容を変更した時点で、その時点における契約者貸付の貸付残高についての返済義務が消滅する仕組みとなっている。したがって、その時点で返済を免れた金額が個人の課税所得になると考えられる」とされています。
このような保険のすべてが上記のような約款になっているのかは不明ですが、「いずれの保険会社の商品も同様の仕組みとなっていると思われ」るとされています。したがって、このような保険に加入している場合は、自分の加入している保険の約款をまず確認してみる必要があるということのようです。
また、「解約返戻金や保険金が存在しないがゆえに支払調書が発行されないことが「課税を受けない」ことの根拠となっているが、支払調書が発行されないことと課税されないことは別問題」とし、「実際、ある個人に対する税務調査では、調査官から「一時所得として課税対象となる」との指摘を受けた事例も発生している模様」と述べられています。
この新逓増定期保険が現時点でどれくらいポピュラーなのかは分りませんが、それなりに販売されていたとすると影響を受ける人が結構いるということになりますので、注意しましょう。