閉じる
閉じる
閉じる
  1. 18監査事務所が会計士資格を誤表記で有報訂正が必要らしい
  2. 内部統制新基準が2025年3月期より適用に(公開草案)
  3. デューデリジェンス(DD)費用の税務上の取り扱い
  4. テレワークの交通費、所得税の非課税限度額適用の有無は本来の勤務地で判断…
  5. プライム市場上場会社、88.1%が英文招集通知を提供
  6. タクシー、インボイス対応か否かは表示灯での表示を検討?
  7. 副業の事業所得該当判断の金額基準はパブコメ多数で見直し
  8. 総会資料の電子提供制度、発送物の主流はアクセス通知+議案等となりそう
  9. 押印後データ交付の場合、作成データのみの保存は不可(伝帳法)
  10. 四半期開示の議論再開(第1回DWG)
閉じる

出る杭はもっと出ろ!

「高額特定資産」とはなんですか?(その3)-平成24年改正(特定新規設立法人の免除特例)

こうふり返ってみると毎年のように何らかの改正がなされていたんだと改めて驚きますが、平成24年度税制改正によって導入されたのが特定新規設立法人の納税義務免除の特例です。

簡単にいえば、大会社の子会社は資本金が1,000万円未満であっても、基準期間による免税事業者の特例は適用できないというものです。

1.なぜこの改正がなされたか

資本金1,000万円以上の新設法人について、基準期間による免税事業者の特例の適用がなくなったのは平成9年度の税制改正によるものでした。
このように、比較的低い資本金の基準で、免税事業者の選択に網がかけられていましたが、会社法上は資本金は1000万円未満であっても問題ないわけですので、それならばと資本金を1000万円未満で会社を設立することが生じました。
新設法人の場合、資本金はある意味信用力にもつながるので、純粋な新設法人であれば、消費税の観点から資本金を1000万円未満とするという選択も尊重されるべきだと思いますが、平成24年度の改正では、規模の大きな会社が子会社を新設するのに消費税を勘案して資本金を1000万円未満で設立し租税回避を図るというスキームが横行していたことが問題視されたといわれています。さらに悪質なケースでは、2年で設立と解散を繰り返すというようなものもあったそうです。

このような租税回避的な行為が散見されたため、平成24年度税制改正によって、一定の場合は資本金が1000万円未満であっても、基準期間による免税事業者の特例が適用されないこととされました。やり過ぎれば網がかかるというある意味おきまりのパターンです。

なお、この制度は平成26年4月1日より適用となっています。

2.平成23年度改正との関係

平成23年度税制改正による特定期間の課税売上高による納税義務免除の特例については前回取り上げましたが、特定期間の課税売上高が1000万円超となった場合には、翌事業年度から課税事業者として取り扱われるため、資本金を1000万円未満としたとしても、課税売上高が大きくなればこの特例の適用を受けることとなります。

しかしながら、この制度によっても設立1期目は免税事業者となりますし、設立日を操作して初年度の事業年度を7月以下とすれば第1期について上記の特例の適用はないとされていますので、第2期も免税事業者となります。したがって、平成23年度改正によっても1年半くらいは免税事業者として活動することが可能となります。

そして、大規模法人の子会社の場合、親会社の意向で新設法人の取引量を調整することは比較的容易と考えられます。しかも、上記のとおり設立日を調整すれば1年半は免税事業者として取り扱われることとなるので、このようなケースにおいて平成23年度税制改正の目的は十分に果たされていなかったと考えられます。

3.特定新規設立法人の納税義務免除の特例

そこで平成24年度税制改正によって、特定新規設立法人の納税義務免除の特例が導入されました。

この特例の概要は、その事業年度の基準期間ない法人で、その事業年度開始の日における資本金の額又は出資の金額が1,000万円未満の法人(新規設立法人)のうち、以下の1.および2.のいずれにも該当するもの(特定新規設立法人)については、当該特定新規設立法人の基準期間のない事業年度に含まれる各課税期間における課税資産の譲渡等について、納税義務が免除されないというものです。

  1. その基準期間がない事業年度開始の日において、他の者により当該新規設立法人の株式等の50%超を直接又は間接に保有される場合など、他の者により当該新規設立法人が支配される一定の場合(特定要件)に該当すること。
  2. 上記1.の特定要件に該当するかどうかの判定の基礎となった他の者及び当該他の者と一定の特殊な関係にある法人のうちいずれかの者(判定対象者)の当該新規設立法人の当該事業年度の基準期間に相当する期間(基準期間相当期間)における課税売上高が5億円を超えていること。

細かい要件は必要に応じて確認する必要がありますが、とりあえず親会社グループで課税売上高5億円超の会社があれば、資本金1000万円以下であっても要注意と認識しておけばよいのではないかと思います。

なお、子会社の立場にある法人からは親会社等の資本関係を把握することができなかったということがないように、判定対象者(上記2.参照)は、特定要件に該当する新規設立法人から基準期間相当期間における課税売上高が5億円を超えるかどうかの判定に関し必要な事項についての情報の提供を求められた場合、これに応じなければならないとされています(消費税法12条の3第4項)。

したがって、分からなかったので仕方がないという理屈は通じないようになっています。

関連記事

  1. 国境を越えた役務提供に対する消費税(その2)

  2. 2014年4月1日以降分の保守売上にかかる消費税への対応動向

  3. 同業者団体への年会費は消費税の課税対象か?

  4. ADワークス社-マンション販売仕入税額控除否認問題で勝訴

  5. 消費税(その11)-課税売上割合の算出1

  6. 免税事業者の適格請求書発行事業者登録日で2年縛りに違いが生じる?…




カテゴリー

最近の記事

ブログ統計情報

  • 12,947,724 アクセス
ページ上部へ戻る