申告期限の延長は決算日から最長6ヶ月に-平成29年度税制改正大綱
申告期限の延長は決算日から最長6ヶ月に-平成29年度税制改正大綱
平成29年度税制改正大綱の「三 法人課税」の「3 コーポレートガバナンス改革・事業再編の環境整備」に以下の記載がなされています。
(1)確定申告書の提出期限の延長の特例について、次の見直しを行う。
①法人が、会計監査人をおいている場合で、かつ、定款等の定めにより各事業年度終了の日の翌日から3月いないに決算についての定時総会が招集されない常況にあると認められる場合には、その定めの内容を勘案して4月を超えない範囲内において税務署長が指定する月数の期間の確定申告書の提出期限の延長を認めることとする。
株主総会の集中日を回避すると共に、株主に議案等の十分な検討時間を確保することを可能とするため株主総会の開催日を決算日後3ヶ月を超えて開催するということが、コーポレートガバナンス改革の一環としてここ2年くらいで話題になっています。
そもそも、会社法では296条1項において「定時株主総会は、毎事業年度の終了後一定の時期に招集しなければならない。」とされているだけなので、3月決算の会社が7月以降にに株主総会を開催することは可能という建て付けになっています。
ただし、議決権行使のための基準日を定める場合、基準日株主が行使することができる権利は、当該基準日から3か月以内に行使するものに限られるとされているため(会社法第124条第2項)、定款に定められた基準日から3か月を経過した後に定時株主総会が開催される場合に、議決権行使の基準日を定めるためには、当該基準日の2週間前までに、当該基準日及び基準日株主が行使することができる権利の内容を公告する必要があるということになっています(会社法第124条第3項本文)。
一方で、法人税の申告書の提出期限は、会計監査を要する場合であっても事業年度の翌日から3ヶ月以内が上限とされていたため、会計監査人の監査を受けている場合には計算書類が報告事項となるのが通常であるとはいえ、総会前に申告を行わなければならないとすると総会を決算日から3ヶ月を超えて開催するのは現実問題としては選択しにくいというのが実態であったと思われます。
そこで平成29年度税制改正大綱に申告期限の延長期間をより長くするという改正が織り込まれました。3月決算会社の7月開催総会が話題とされることが多かったので、さらりと申告期限が1ヶ月延長されて決算日後4ヶ月まで可能となるのかと読んでしまっていましたが、「4月を超えない範囲内において」、「提出期限の延長を認める」となっていますので、通常の申告期限+4ヶ月が最大の延長期間ということで、事業年度終了の翌日から最大で6ヶ月まで申告期限を延長することが可能となる見込です。
実際に採用している会社はそれほど多くないと思いますが、総会前に有価証券報告書を提出することは現段階でも可能となっており、この点も特に問題とはなりません。
株主総会の招集通知を早期に発送するのは何かと大変ですし、会場の手配などの点からも株主総会を後ろにずらすということは検討の余地があることは確かですが、実務担当者からすると、さっさと終わらせてしまいたいという感じではないか思います。
話題狙いで7月開催にシフトする会社もあるとは思いますが、全体としてはそれほど多くはならないものと考えます。