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残業月80時間未満で過労死認定?

昨日、いなげや(本社・東京都立川市)の男性店員が2014年6月に脳梗塞でなくなったのが長時間労働によるもの労災認定されたという報道が多くなされました。

残念なことに長時間労働で亡くなった方が労災認定されるというのは珍しいことではなくなっていますが、今回報道された記事では「残業月80時間未満」という文言が記事の見出しに含まれているものが多くありました。

電通の事件以降、さらに注目されていることもあり、過労死認定ラインが見直されることとなったのかと思いましたが、過労死の認定基準がかわったということではないようです。

確かに今回労基署が遺族の主張等を踏まえて認定した残業時間は発症前2~6カ月の平均は最大で75時間53分、月の最大残業時間は約96時間で過労死認定基準の平均80時間、月100時間未満とされています。

ただし、労基署は「ほかにも特定できない労働時間がある」として、労災認定を行ったとのことです。過労死認定ラインとして80時間および100時間という時間数がクローズアップされますが、そもそも厚労省の認定基準では「発症前1か月間におおむね100時間又は発症前2か月間ないし6か月間にわたって、1か月当たりおおむね80時間を超える時間外労働が認められる場合は、業務と発症との関連性が強いと評価できること を踏まえて判断すること。」と「おおむね」なので80時間あるいは100時間未満であっても、それに近い時間数であれば、労災認定される可能性はあるということになります。

しかも、このケースでは時間管理がしっかりしていなかったという見方がされたことにより、時間数ははっきりとはわからないものの、80時間あるいは100時間という時間数を超えていると判断されたため、実態としては平均80時間を超えていた可能性が極めて高いという判断の下、労災認定されたようです。

企業側からすると、月平均80時間という基準で管理をしていることが多いように思いますが、今後は月80時間に近い水準では、時間管理の精度が問われるということが多くなっていくのではないかと思われます。

長時間労働が生じている場合には、今年1月に「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」も改正されていますし、改めて労働時間が実態に即しているかを確認することが重要と思われます。

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