仮想通貨も活発な市場があれば時価評価の方向で検討中
数週間前にビットコインが分裂してビットコンキャッシュなるものが新たに生じたということが話題となりましたが、ビットコインのような仮想通貨の会計上の取扱いが企業会計基準委員会で審議されています。
来月には公開草案が公表される見込みとされていますが、会計処理の概要としては、資金決済法上の仮想通貨に活発な市場が存在する場合には時価によって貸借対照評価額とし、帳簿価額との差額は当期の損益として処理するという方向で検討がすすめられているようです。
活発な市場がある仮想通貨としては、ビットコインが想定されていたと思われますが、ここでいう「活発な市場」とはどのようなものを意味するのかが問題となります。
この点、「活発な市場とは、複数の仮想通貨交換業者が取り扱うことにより客観的に信頼性のある価額として時価が把握できるとともに、当該時価による売却・交換等の実現可能性があるかという観点から判断を行うとしている」(T&A master No.701 “仮想通貨、活発な市場があれば時価評価”)とのことです。
ビットコインとビットコンキャッシュのような事象をみていると、「信頼性のある価額」という点がひっかかりましたが、よくよく考えてみると、ボラティリティが大きくハイリスクな株式などであっても市場で取引されている価額を「信頼性ある価額」として取り扱っているのと同様の取扱といえます。
時価の算定方法については、①仮想通貨取引所で取引されている資金決済法上の仮想通貨の市場価格は、原則として最も取引が活発に行われている仮想通貨取引所における取引通貨とする、②仮想通貨交換事業者の仮想通貨販売所において取引されている資金決済法上の仮想通貨の市場価格は、最も取引が活発に行われている仮想通貨販売所において成立する価格(気配値を含む)とすることができるとされるようです。
一般事業会社において仮想通貨の会計処理が問題となるケースはまだ稀だと思われますが、活発な市場が存在するとはいえない資金決済法上の仮想通貨については、取得価額を貸借対照表価額とし、期末日における処分見込価額が取得原価よりも下落している場合には当該処分見込価額を貸借対照表価額とし、差額を当期の費用として処理することが提案されているとのことです。
活発な市場がない場合、「著しい下落」に限られていないという点がポイントですが、そうであるとするとゴルフ会員権の会計処理は現行のままでよいのだろうかという疑問が生じます。
活発な市場の有無で取り扱いをかえるのは難しいのではないかという意見もあったとのことですので、公開草案では取り扱いが見直されている可能性はあります。
当面は、ほぼ無関係な基準となりそうですが、将来的には金融商品会計基準に織り込まれるようなものとなのかもしれません。