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有償新株予約権の経過措置の対応が判明

大量の反対コメントが寄せられた「従業員等に対して権利確定条件付き有償新株予約権を付与する取引に関する取扱い(案)」について、経過措置の対応が判明したという記事がT&A master No.713に掲載されていました。

公開草案では、第10項で経過措置が以下のように定められています。

(1) 本実務対応報告は、公表日以後適用する。
(2) 本項(1)の定めにかかわらず、公表日より前に従業員等に対して権利確定条件付き有償新株予約権を付与した取引については、本実務対応報告の会計処理によらず、従来採用していた会計処理を継続することができる。この場合、当該取引について次の事項を注記する。
① 権利確定条件付き有償新株予約権の概要(各会計期間において存在した権利確定条件付き有償新株予約権の内容、規模(付与数等)及びその変動状況(行使数や失効数等))
② 採用している会計処理の概要

上記の記事では、この経過措置に対して以下の対応が判明したとされています。

まず、基準が公表される前に付与した有償新株予約権について、「期首時点で権利行使期間がすでに終了し、会計処理が完結した取引については記載を要しないとの見解を明らかにしている」とのことです。したがって、3月までに基準が公表されたとすると、公表日前までにすべて権利行使期間が満了していたとしても期首時点で残高があれば注記が必要となるということになるようです。

次に、上記(2)①で求められている「概要」について、「付与日における公正な評価単位」の情報を入試していない場合が多いことから、公正な評価単価の注記が不要な旨を明確化すべきとのコメントが寄せられたことに対して、”実務対応報告の経過的な取扱いに「付与日における公正な評価単価」の記載を要しない旨を追記することとしている”とされています。

有償ストック・オプションを発行する場合、第三者機関に対して発行価額を決定するための評価は依頼すると思いますが、「付与日」の評価単価は情報を入手していないというのが普通だと思われます。

最後に、経過的な取扱を適用した場合、適用初年度において、これまでの会計処理と異なることとなる場合及び経過的な取扱を適用する場合には、会計基準等の改正に伴う会計方針の変更として取り扱う旨が追加される方向とのことです。

公開草案公表後も有償ストック・オプションの発行事例は継続して発生しており、直近では本日付で日本M&Aセンターが「募集新株予約権(有償ストック・オプション)の発行に関するお知らせ」を公表しています。同社では従来から有償ストック・オプションが活用されており、前回の発行が2015年4月、さらにその前が2012年2月および3月となっており、過去の傾向からすれば2018年3月頃に発行ということになりそうですが、おそらく発行時期を繰り上げたものと推測されます。

聞いたところによれば、基準の最終確定は来年春頃となるらしいので、準備に要する時間を考えるとそれほど猶予はありませんが、もう少し駆け込みは可能ではないかと思われます。

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