メルカリの仕入税額控除否認のロジックとは?
まもなく東証マザーズに上場することで注目を集めているメルカリが、消費税の更正処分を受けたと報道され、同社からも「弊社は平成29年3月より、当社の平成27年6月期及び平成28年6月期の2事業年度につき、法人税及び消費税を対象とした東京国税局による税務調査を受けており、平成30年5月30日に更正通知書を受領いたしました。」というリリースが2018年5月30日に公表されています。
メルカリのリリースでは、問題となった部分について以下のように開示されています。
弊社はメルカリのマーケットプレイスにご参加頂くことを通じて弊社のサービスの運営・発展にご協力頂く対価として、お客さまにポイントを発行しております。その上で、お客さまが当該ポイントを利用してメルカリのマーケットプレイスで商品を購入する際、当該ポイントを弊社の費用として認識しております。弊社は当該費用が消費税法上の課税仕入れに該当すると考えていますが、国税当局はこれが課税仕入れに該当しないとの認識です。
無償ポイントに対価性が認められると考えるのか否かが問題となったように読めますが、T&A master No.742の「メルカリの仕入れ税額控除否認理由が判明」という記事で、「本紙取材により、これまで新聞報道等でも触れられていなかった否認のロジックが判明した」として簡単な解説がなされていました。
この記事よれば、10,000円の購入対価のうち100円相当をポイントで支払った場合、メルカリは一度10,000円を預かり金として計上した上で、ポイントで支払われた100円はマーケットに参加してもらうために負担しているものなので、対価性があるとして費用計上した上で、100円の8%相当額である8円について、仕入税額控除をしていた模様とされています。
これに対して「東京国税国は、キャンペーン等で”無料”で付与したポイントに相当する費用には対価性はなく、消費税法上の課税仕入にはならない(不課税)と判断したようだ」とのことです。
「購入金額に応じて購入者にポイントを付与していれば、税務上の取扱いは「売上値引」であり、その分消費税法上の課税売上が減るに過ぎない」とされていますが、無料で配布するポイントの消費税法上の取扱いは異なるということのようです。
無償でポイントやクーポンを発行するのは珍しいことではありませんが、自分であればき普通に値引き処理していただろうなと思いますし、普通そうしているのではないだろうかという気がしますが、上記記事では「新たな消費税額否認事案が大量に発生する恐れもあろう」と締めくくられています。
否認ロジックが判明というわりに、推測の部分も多いので、今後の続報が待たれます。