自己株式取得はどの時点で認識すべき?
単元未満株株式の買取請求等によって自己株式を取得することがありますが、自己株式の取得を認識するのはいつだったのか記憶が曖昧だったので確認しました。
結論としては「自己株式及び準備金の額の減少等に関する会計基準の適用指針」(企業会計基準適用指針第2号」の5項で自己株式取得の認識時点は対価の種類によって以下のとおり定められています。
1.自己株式取得の対価が金銭の場合
対価を支払うべき日
2.自己株式取得の対価が金銭以外の場合
対価が引き渡された日
通常は対価が金銭であると思われますので、対価を支払うべき日に自己株式を認識すると考えておけばよいと思います。
金融商品会計基準では、有価証券の取得時期は約定日基準が原則的な方法とされていますが、これとの兼ね合い関して、適用指針の結論の背景では、自己株式の取得及び処分の認識時点について以下の二つの方法が考えられるとされています(適用指針30項)。
(1)有価証券の売買契約の認識に準ずる方法
(2)資本の払戻及び資本の払い込みの性格を有する類似の取引の認識に準ずる方法
適用指針では、以下の理由から(2)が採用されています(適用指針32項)。
自己株式等会計基準では、自己株式の取得及び処分は、株主との間の資本取引であり、資本の払戻し及び資本の払込みの性格を有すると位置付けた上で、その考えに照らして会計処理を定めている。よって、この会計処理との整合性から、(2)の資本の払戻し及び資本の払込みの性格を有する類似の取引に準ずる方法が適切であると考えられる。
なお、募集株式の発行等の手続きによる自己株式の処分については、対価の払込期日(払込期間を定めた場合には出資が履行された日をいう)に認識するとされています(適用指針5項)。
買取請求と支払日が期を跨ぐような場合に間違わないように注意が必要です。