取締役責任追及、和解には各監査役の同意が必要に
T&A master No.761に「取締役責任追及、和解には監査役の同意」という記事が掲載されていました。
会社法の見直しを検討している法制審議会会社法制(企業統治等関係)部会での状況について述べられている記事で、「取締役等の責任を追及する訴えに係る訴訟における和解をするにあたり、監査役設置会社の場合は監査役(監査役が2人以上いる場合は各監査役)、監査等委員会設置会社の場合は各監査等委員、指名委員会等設置会社の場合は欠く監査委員の同意をそれぞれ得ることとする方針だ」と述べられています。
これは、今年2月に公表された「会社法制(企業統治等関係)の見直しに関する中間試案」と同様の内容のままとのことです。
全く記憶にないので改めて確認してみると、「第3 その他」の中の「第3 その他」に「1 責任追及等の訴えに係る訴訟における和解」として以下のように記載されていたことが確認できました。
1 責任追及等の訴えに係る訴訟における和解
株式会社が,当該株式会社の取締役(監査等委員及び監査委員を除く。),執行役及び清算人並びにこれらの者であった者(以下「取締役等」という。)の責任を追及する訴えに係る訴訟における和解をするには,次に掲げる当該株式会社の区分に応じ,①から③までに定める者の同意を得なければならないものとする。
① 監査役設置会社 監査役(監査役が二人以上ある場合にあっては,各監査役)
② 監査等委員会設置会社 各監査等委員
③ 指名委員会等設置会社 各監査委員
このような改正がされる理由については、上記記事では以下のように解説されています。
監査役設置会社、監査等委員会設置会社又は指名委員会等設置会社が取締役等を補助するために当該取締役等の責任を追及する訴えに係る訴訟に補助参加人として参加する場合や、取締役(監査等委員会又は監査委員を除く)及び執行役の責任の一部免除に関する議案を提出する場合は、各監査役、各監査等委員又は各監査委員の同意を得なければならないとされている。このため、監査役設置会社等の責任を追及する訴えに係る訴訟における和解をする場合においても平仄を合わせる観点から同様に、各監査役等の同意を得ることとしたもの
たしかに、和解の内容にも色々あると考えられ、責任一部免除の議案を提出することよりも要件が緩和されているとおかしな結果を招くことは考えられますので、他の手続きと平仄を合わせる必要性は高いと思われます。