個人の青色申告特別控除が55万円に引き下げー65万円の控除を維持するには?
税務通信(3571号)の記事で取り上げられていたのを見て、そういえばそんな改正もあったなと思いだしたのが、令和2年分から個人の青色申告特別控除額が従来の65万円から55万円に引き下げられるというものです。
この改正は給与所得控除の最低保証額が65万円から55万円に引き下げられたことに伴うものですが、令和2年分以降も以下のいずれかの要件を満たした場合には、引き続き65万円の青色申告特別控除が認めらえるとされています。
①電子帳簿保存法の規定に基づく承認を受けて、電子帳簿保存法に定める電磁的記録の備え付け及び保存等を行っている場合
または
②e-Taxによる電子申告を行う場合
そして、①により青色申告特別控除額65万円を受けられるようにしたいという場合、原則としては帳簿の備え付けを開始する日の3カ月前までの日に承認申請書を所轄税務署長に提出する必要があるとされています。
したがって、令和2年から電子帳簿保存を行う場合には9月末までに承認申請書を提出しなければならないというのが原則となりますが、令和2年分に限っては、令和2年9月29日までに承認申請書を提出し、12月末までの間に、仕訳帳及び総勘定元帳の電磁的記録による備え付け及び保存を行うことにより、65万円の青色申告特別控除の適用が可能とされています。
個人事業主として活動している規模や本業がなんであるのかによっても異なるものの、どちらかというと個人事業主にとっては①の要件を満たすというのは、ややハードルが高い感じはします。
一方で②のe-Taxについては、ID・パスワード方式が導入されたことにより、国税庁のサイトを使用して確定申告書を作成している方であれば、実質的にほとんど負担なく利用することが可能なものと考えられます。
実際、平成30年分で使用してみたところ、紙ベースで提出した場合と比べて還付を受けられるのも早かったですし、提出に際し長い列に並ばなくてもすむし、夜でも作業ができるというのは便利だなと感じました(紙でも郵送すればよいのですが…)。
ID・パスワード方式を利用する場合には、一度税務署に出向く必要はありますが、マイナンバーカードを持っていなくても利用できますし、そのためカードリーダーも不要です。国税庁のサイトを利用して確定申告書を作成しているという個人事業主で、e-taxを使用していないのであれば、利用を検討する価値は十分あると思います。