まとめ買いしたマスク等の損金算入時期
新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受け、出社しなければならない従業員等のために感染予防のためのマスク等を調達した会社も多かったのではないかと思います。
4月の下旬になり、50枚で4000円程度を覚悟すれば、それなりに調達可能な状況になっているようで、法人向けに販促品としてどうですかみたいな営業もあると聞いています。数ヶ月前の価格を考えてしまうと、個人としては釈然としないものの、会社としては、出勤せざるを得ない従業員の安全対策上、多少価格が高くてもマスクや消毒液等の手配を行うほかありません。
この場合、元々価格も値上がっているうえ、手配できるときに手配しておこうという心理が働くこともあり、マスクや消毒液の購入代金は結構な金額となってしまうのではないかと考えられます。
当然のことながら、購入したマスクの大部分は備蓄品となり、徐々に消費されていくこととなります。3月決算会社が3月中にマスク等を購入し、期末日時点で、大部分が備蓄品の状態にある場合、普通に考えると貯蔵品等として資産計上することが必要ということになると思います。
しかしながら、「原則的な取扱いとは異なり、企業が、新型コロナウイルス感染症の感染を防止等するために購入したマスクや消毒剤の費用は、未使用分(備蓄分)の費用を含めて、購入時に一括で損金算入して問題ない」とのことです(税務通信3603号ショウ・ウインドウ)。
税務通信の記事では、国税庁が示している質疑応答事例「非常用食料品の取り扱い」が参考になるとし、この質疑応答事例では、非常用食料品の購入費用は、備蓄(購入)時に”使用”したものとして、購入時に一括で損金算入することができることが示されています。
この事例を参考に上記記事では、”新型コロナウイルス感染症拡大に備えて購入したマスク等の費用も、災害に備えて購入した非常用食料品の費用に類似するものといえ、購入時に一時の損金として処理しても、何ら違和感はないだろう”とされています。
というわけで、新型コロナウイルス感染症の感染を防止等するために購入したマスクや消毒剤の費用は、購入時に一括損金算入して問題ないということでした。