カフェテリアプランに財形メニューがあっても換金性あるとはいえず
福利厚生の一環としてカフェテリアプランが導入されている会社も比較的多くあると思います。
カフェテリアプランは、用意されたメニューの中から従業員各人のニーズに応じて好きなものを利用できるような仕組みです。カフェテリアプランの課税上の取扱いについては、国税庁のサイトに「カフェテリアプランによるポイントの付与を受けた場合」という質疑応答事例が掲載されています。
要約すると、ポイントの付与時に経済的利益を受けたものとして課税関係が生じるかという質問に対して、基本的な回答は「従業員に付与されるポイントに係る経済的利益については、原則として従業員がそのポイントを利用してサービスを受けたときに、そのサービスの内容によって課税・非課税を判断することになります。」とされ、「ポイントを現金に換えられるなど換金性のあるカフェテリアプランは、その全てについて課税対象となります。」と述べられています。
これに関連して、財形貯蓄補助金メニューが含まれているカフェテリアプランの経済的利益が給与等にあたるかが争われた裁決事案がT&A master No.853で取上げられていました。
この事案で、納税者側は、人間ドック等補助メニューに係る経済的利益は給与等として課税されない経済的利益にあたると判断していたところ、財形補助金メニューが含まれていたため、原処分庁は、人間ドック等補助メニュー等分も含め「その全て」が課税対処となるとして納税告知処分等を行い争いとなったということのようです。
最初に審判所の結論から書いておくと、審判所は換金性のあるカフェテリアプランにあたらないと判断したとのことです。
審判所は、カフェテリアプランの中に何ら要件なく金銭や商品券等の支給を受けることを選択できたり、自由に品物を選択できるなどのメニューがあったりする場合には、金銭を給付するのと同様とみられるため、すべての経済的利益が課税対象となるという取扱いは相当であるとしたものの、問題となったプランについては以下の様に判断したとのことです。
①各使用人が本件各経済的利益として受ける額は、各使用人の職務上の地位や報酬に応じて異なるものではなく、福利厚生費として社会通念上著しく多額であるとは認められない
②本件財形メニューは、一定の期間内に財形貯蓄をした使用人に対してその補助として金銭が支給されるものであり、何ら要件なく各使用人に付与されたポイントを金銭に換えることを内容とするものとは認められない
③財形メニュー以外の各メニューについても一定の条件を充足していなければ補助等を受けられないものであり、何ら要件なく金銭や商品券等の支給受けられることを内容とする者ではない
以上から、本券プランはポイントを現金に換えられるなど換金性のあるカフェテリアプランであるとは認められず、各経済的利益は使用人が選択したサービスの内容に応じて課税対象となるかを判断することとなるとし、陣原ドック等に係る経済的利益について源泉徴収義務はないと判断したとのことです。
こんな事案があったと、覚えておくと役に立つかも知れません。