コロナの影響で源泉徴収漏れが多発?
税務通信3640号の税務の動向に「コロナの影響で源泉徴収漏れが多発」という記事が掲載されていました。
この記事によれば、「実務上は、多くの企業が、非居住者の国内源泉所得に係る源泉徴収を失念している実態にある」そうで、「今後の源泉所得税の税務調査に備え、改めて源泉徴収漏れがないか否かの確認をしておくべき」とされています。
源泉徴収を失念している可能性がある項目としては以下の項目について触れられています。
➀日本に一時帰国している従業員に対して支給する留守宅手当等
国内源泉所得として20.42%で源泉徴収が必要。新型コロナの影響により、海外出向から一時帰国している従業員に対する留守宅手当等が発生している可能性があるため注意が必要とされています。
②海外支店に勤務する役員への役員報酬
これはコロナと関係ありませんが、例年、海外取引等に係る源泉所得税に関して最も多いミスとされています。海外支店に勤務するのが役員ではなく従業員であれば、給与等は源泉徴収は不要ですが、役員の場合は、海外支店で勤務していることに対するものであっても、国内源泉所得として20.42%で源泉徴収が必要とされています。
なお、源泉徴収はおこなっているものの、20.42%ではなく、居住者として累進税率で源泉徴収を行ってしまっているケースもあるとのことですので注意しましょう。
③海外支店に出向した従業員に対して、出向後、最初に支払う賞与
出向後最初に支払う賞与の中に、国内勤務分が含まれている場合には、その従業員が非居住者であったとしても、国内源泉所得として20.42%で源泉徴収が必要。
この記事では上記3点が取上げられていましたが、在宅勤務等のための準備金(支援金)として従業員に一律支給している金額なども源泉徴収の対象となると考えられますので注意が必要です。
なお、給与等に係る源泉所得税を法定期限までに納付していないケースでも、「正当な理由があると認められる場合」には、不納付加算税が課せられないこととなっているものの、「単に源泉徴収すべきこをを”知らなかった”だけでは、「正当な理由」があるとは認められず、”知りうる状況になかったこと”を示すことが必要」とのことです。
「知らなかった」というだけで「正当な理由」があるとは認められないというのは、当然でしょう。では「知りうる状態になかった」というのはどのようなケースが該当するのかですが、海外勤務しているはずの従業員が、日本本社に黙って帰国してリモートで勤務していたというようなケースなどはありえるかも知れません(もっともこのような場合に、本人以外から本社に全く連絡がないことは考えにくいですが・・・)。
不納付加算税は基本的に税額の10%となっており、ついうっかりの結果として支払うには金額が大きかったりするので注意しましょう。