東証-総会3週間前より前に招集通知等を電磁的方法により提供する努力義務を規定
東京証券取引所は2021年2月12日に「令和元年会社法改正に伴う上場制度の整備に係る有価証券上場規程等の一部改正について」を公表しました。
主な内容は以下の三つとなっています。
➀社外取締役の確保
②電磁的方法による株主総会資料の早期提供に関する努力義務
③株式交付制度の創設に係る制度整備
➀の社外取締役の確保は、「上場会社は、社外取締役を1名以上確保しなければならない」とするものですが、2020年9月時点において東証が公表した資料によれば、東証一部で社外取締役が0名となっているのは2172社中3社(独立社外取締役が0名の会社は6社)にすぎず、東証一部上場会社では独立社外取締役を2名以上選任している会社が95.3%となっていますので、ほとんどの会社には影響はないといえます。
改正会社法では、上場会社のうち会社法上の大会社に該当する場合に社外取締役を置くことが義務付けられているので、会社法の大会社でなければ社外取締役を選任することは会社法的には不要ですが、東証の規定によって大会社でなくとも社外取締役を選任することが必要とされることとなりました。
会社法の大会社でなくとも監査役会設置会社とすることが求められるというのと同様ですが、CGコードが2015年6月に策定され、それ以降の社外取締役の選任割合を踏まえると、もっと早くにこのような規制が加わっていてもよさそうでしたが、会社法を上回る内容を要求するというのは東証といえどもやりにくいということなのかもしれません。
②の電磁的方法による株主総会資料の早期提供に関する努力義務は、「上場会社は、招集通知、株主総会参考書類、計算書類・連結計算書類及び事業報告等を、株主総会の日の3週間前よりも早期に、電磁的方法により提供するよう努めるものとする」というものです。
これはあくまで努力義務ですが、印刷物を2週前までに発送するためには、印刷に要する時間を考慮するとデータ自体は総会の3週間前くらいにはできているので、それほどハードルが高いものではないと思われますが、努力義務とはいえ3週間という期間が明確に示されると実務担当としてはややプレッシャーを感じるのも事実です。
③の株式交付制度の創設に係る制度整備としては、以下の場合に適時開示が求められることとされました。
・上場会社の業務執行を決定する機関が株式交付を行うことについての決定をした場合
・上場会社の子会社等の業務執行を決定する機関が株式交付を行うことについての決定をした場合
上記➀~③は2021年3月1日より適用されることとされていますが、社外取締役の選任は施行日以後に終了する事業年度に係る定時株主総会の日の翌日から適用するととされています。