役員賞与の支給順序変更も事前確定給与として損金算入可能
税務通信3649号の「税務の動向」に”事前確定 支給時期の変更でも損金算入OK”という記事が掲載されていました。
この記事では、役員賞与の支給時期は従業員の支給時期と合わせて、冬季・夏季の2回に分けることが一般的で、3月決算法人の倍、冬季賞与、夏季賞与の順で支給することが多いとされています。
一方で、「前期の決算状況とを踏まえ、その支給時期(支給の順番)を変更することもあるようだ」とされ、「分割した役員賞与の支給順番を変更する場合でも、所定の手続を行うことで事前確定届出給与として損金算入が認められる」とのことです。
職務執行期間(X期)に冬季→夏季の順で支給していた会社が、翌職務執行期間(X+1期)の賞与の支給順序を夏季→冬季と変更した場合、夏季賞与の支給時期がX期とX+1期で重なるため、直感的には問題がありそうに思いますが、「事前各届出給与は、毎期継続して同時期に支給することは求められていないため、支給時期を変更することのみをもって、損金算入が否定されるものではない」とのことです。
したがって、手続き的に、株主総会等での決議日から1ヶ月を経過する日等までに、支給時期等を記載した届出を税務署に提出していれば、翌職務執行期間の夏季賞与についても損金算入が認められるとのことです。
上記のような支給順序の変更を行った場合、事業年度単位でみると、賞与の支給回数が実質的に3回分となることから、賞与分の支給額が多額となる可能性がありますが、そのことのみをもって、不相当に高額な部分の金額として問題にはならないとされています。
もちろん、問題となることがない訳ではなく、賞与の支給額と定期同額給与の支給額を踏まえて、不相当に高額であるか否かの判定が行われるとのことです。
なんらかの特殊な要因によって、想定外に利益が発生したというような場合に考慮する価値はあるかもしれません。