算定・月変実務の変更点(2021年)
ビジネスガイド2021年6月号に「コロナ影響下で注意したいポイントはここ!算定・月変の実務」(社会保険労務士 松田研二氏)という記事が掲載されていました。
少し早い気はしましたが、来月号(7月号)では労働保険の「年度更新」が取り上げられるため、6月号で取り上げられているということのようです。
この記事では基礎的な内容も解説されていますが、それは例年のことなので割愛し「今年の改正点・注意点」として挙げられていた内容を確認します。
➀算定基礎届総括表の廃止
電子申請利用促進及び添付書類の省略を図るため、2021年4月から廃止されています。
②算定基礎届・月額変更届の押印等を求める記載の削除
これは2020年12月25日から適用されていますが、算定基礎届・月変変更届け等の押印が不要となっています。
③現物給与の価額の改定
2021年4月から現物給与の価額が改定されました。きちんとすべてを見比べてはいませんが基本的に上がっているようです。
例)
a.東京
・1ヶ月当たりの食事の額 21,300 → 21,600
・1ヶ月当たりの住宅の利益の額(一畳あたり)2,590 → 2,830
b.神奈川
・1ヶ月当たりの食事の額 21,000 → 21,300
・1ヶ月当たりの住宅の利益の額(一畳あたり)2,070 → 2,150
c.大阪
・1ヶ月当たりの食事の額 20,400 → 21,000
・1ヶ月当たりの住宅の利益の額(一畳あたり)1,620 → 1,780
④新型コロナウイルス感染症の影響に伴う特例改定
2021年4月~7月のいずれか1ヶ月に新型コロナウイルス感染症の影響により休業したことで報酬が著しく下がった月がある者について、一定の要件に該当する場合は、2021年9月末までに月額変更届(特例改定用)に申し立てを提出することにより、通常の随時改定によらず、特例により翌月から改定となります。ただし、令和2年8月~令和3年7月までで特例改定の届出は1回とされています。
申請期限は2021年9月末までとされているので、仮に該当する場合であっても、申請を急ぐ必要があるのかについては、検討の余地はあると思います。
なお、特例改定を受けた後、休業が回復し、回復した月に受けた報酬をもとにした標準報酬月額が、特例改定された標準報酬月額に比べて2等級以上上昇した場合、休業が回復した月の翌月から、休業が回復した月における標準報酬月額に改定されるため、月額変更届(特例改定用)を提出する必要があるとされています。
⑤社会保険料の納付の猶予(特例)
新型コロナウイルス感染症の影響により、厚生年金保険料等を一時的に納付することが困難となった場合で、一定の要件に該当する場合は、納付の猶予(特例)が認められることがあるので、管轄の年金事務所へご相談くださいとのことです。
以上、今年の変更点・注意点として取り上げられていた主な内容でした。