三井トラスト・ホールディングスの会社法監査報告書にKAM記載
経営財務の3511号に「会社法上の監査報告書へのKAM記載に新たな1社」という記事が掲載されていました。
この3月期からKAMが原則適用となって、会社法の監査報告書にKAMを記載する事例がそれなりに出て来るのかと思っていましたが、上記の記事によると、6月15日時点で、新たに記載が確認できたのは三井住友トラスト・ホールディングスのみであったとのことです。
昨年から会社法の監査報告書にKAMを記載していた三菱UFJフィナンシャルグループは2021年3月期も記載を継続しています。
今年は、原則適用初年度ということもあり、KAMの記載について、会社法の監査報告書作成時点では詰め切れていないということも多かったのかもしれません。そういった意味では、来年は会社法の監査報告書にKAMを記載するという事例がもう少し増えるかもしれません。
いまのところ事例が2社のみではありますが、この記事では両社を比較して「招集通知の構成や形式には若干違いが見られる」とされています。すなわち、MUFGは、従来から「招集通知」、「事業報告」、「インターネット開示事項」の三つで書類を参考していたが、KAMの記載については昨年から、連結計算書類の監査報告書はインターネット開示で、個別は事業報告の中で開示しているのに対し、三井住友トラスト・ホールディングスは、「招集通知」と「インターネット開示事項」の二つで、招集通知に連結・個別両方の監査報告書が記載されているとのことです。
KAMが株主にとって本当に重要であるならば、株主総会に来場する際に持参するであろう書類に連結・個別共に記載しておくというのがよいのではないかと個人的には思います。
なお、MUFGのKAMでは、前期のKAMとの変更点について以下のような説明がなされている点も上記の記事で触れられていました。
これに対し、前連結会計年度の連結計算書類の監査において監査上の主要な検討事項とした「買収・出資に伴うのれん及びその他の無形固定資産の評価」については、関連するのれんが前連結会計年度において全額償却され、当連結会計年度の連結貸借対照表に計上されていないこと、及び関連するその他の無形固定資産の企業結合時における評価が前連結会計年度に完了していることから、当連結会計年度の連結計算書類の監査における監査上の主要な検討事項としていない。
2年目以降は、こうした観点での記載も検討するとよいかもしれません。