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いったいいくらもらえるの-遺族年金(その3)

いったいいくらもらえるの?-遺族年金(その2)」では遺族厚生年金について書きましたが、支給要件等が残っていたので、今回は残りの部分について述べることにします。

なお、理解を優先するため表現が厳密でない部分がある点はお断りしておきます。

一応簡単に確認しておくと、厚生年金に加入している一般的な会社員を前提とした場合、厚生年金の加入者が死亡すると遺族基礎年金と遺族厚生年金を受給できる可能性があります。
遺族基礎年金をもらえる可能性があるのは、高校生までの子を養育している妻のみでした。もらえる金額は現時点ベースで以下の算式で計算された額となります。

788,900円+子の加算(第1子・2子は各227,000円、第3子以降各75,600円)

一方で遺族厚生年金をもらえる可能性があるのは、①配偶者または子②父母③孫④祖父母で、こちらは夫ももらえる可能性があります(ただし、被保険者の死亡時に55歳以上という年齢要件があり、かつ支給は60歳からとなります)。

受給できる金額は基本的に以下の計算式で計算した金額となります。なおここでのポイントは加入期間が300月未満の場合は300月とみなして計算できるということでした。加入期間は国民年金の加入期間で判断されますが、少なくとも30代であれば国民年金の加入期間が300月を超えることはありませんので300月みなしで計算すると考えてよいと思います。

今回の一連のエントリでは、生命保険に加入する際に遺族年金がいくらもらえるかを考える場面を想定していますので、基本的には配偶者か子が受給するケースで考えることにします。

(1)結婚を機に夫が妻を受取人として生命保険に加入するというケース

この場合は、子どもがいませんので遺族基礎年金を受給することができず、遺族厚生年金のみ受給することができます。
特に注意が必要だとすれば、遺族厚生年金については子供がいない妻の年齢が30歳未満の場合は受給期間が5年の有期年金となるという点です。若いので自分で働いて稼ぎなさいということです。

また、胎児がいた場合はどうなるのかですが、この場合は「その子は被保険者または被保険者であった者の死亡当時その者によって生計維持していた子とみなされる」とされています。要は、無事生まれてこれば、生まれた月から妻は遺族基礎年金を受給できるし、仮に30歳未満であったとしても基本的に遺族厚生年金が5年の有期年金とはならないということになります。

ただし、その子が妻が30歳になる前に亡くなってしまったような場合は、その子の死亡時から5年の有期年金となります。関係を図示すると以下のようになります。


(2)子供が生まれたことを機に生命保険に加入しようというようなケース

この場合は、すでに子供が一人以上いるので、基本的に遺族基礎年金を受給することができます。(788,900円+子の加算227,000円=1,015,900円)

また、遺族厚生年金も基本的に受給できるのでもらえる額を試算する必要があります。

30代半ばくらいという前提で、平成11年4月入社、平成15年3月までの平均標準報酬月額28万円(加入月数48か月)、平成15年4月以降の平均標準報酬額42万円(加入月数96か月)とすると、平成23年3月末までで受給できる金額を試算すると以下のようになります。

(28万円×7.125/1,000×48か月+42万円×5.481/1,000×96か月)÷(48+96)×300×3/4=494,926円

したがって遺族基礎年金と遺族厚生年金を合計すると年間約151万円を受給できる計算となります。

<支給要件は?>

遺族厚生年金の支給要件は以下のようになっています。多くの方は①に該当すると思うので基本的に要件を満たすことになります。ただし①および②については、保険料の納付要件を満たしていることが必要となります。現段階では特例により直近1年間に滞納がなければOKとされているので、ほとんどの方はあまり気にする必要はないと思いますが、社会人になりたてで、学生あるいはフリーター状態の時に国民年金の保険料を滞納していた人は注意が必要です。

①厚生年金保険の被保険者が亡くなったとき
②被保険者資格を喪失した後、被保険者期間中に初診日のある病気や ケガが原因で初診日より5年以内に亡くなったとき
③障害厚生年金1級・2級の受給権者が亡くなったとき
④老齢厚生年金の受給権者または受給資格を満たしているものが亡くなったとき

なお④(長期要件と呼ばれます)の場合は、遺族厚生年金の額の計算にあたり300月の見なしを使用することはできません。

<中高年寡婦加算について>

次のいずれかに該当する妻が受ける遺族厚生年金には、40歳から65歳になるまでの間、591,700円(年額)が加算されます。これを、中高齢の加算額といいます

①夫が亡くなったとき、40歳以上65歳未満で、生計を同じくしている子がいない妻
②遺族厚生年金と遺族基礎年金を受けていた子のある妻(40歳に達した当時、子がいるため遺族基礎年金を受けていた妻に限る。)が、子が18歳到達年度の末日に達した(障害の状態にある場合は20歳に達した)ため、遺族基礎年金を受給できなくなったとき

イメージとしては中年になってから稼ぐのは大変だから一定の配慮をしてあげましょうということです。保険料の掛け捨て防止という観点からも①は理解できますが、労働人口が減少してきおり年金財政も苦しいことからすれば将来的には①は見直されるのではないかと予想します。

また、②についても子育てをしつつフルタイムで働くのは困難という前提にたっているようですが、これも保育園等を利用しやすくするなどして仕事をしてもらうという方が全体としてはメリットがあるのではないかと思います。

この他、遺族厚生年金には経過的寡婦加算という制度もありますが、昭和31年4月1日以前生まれの人に適用される可能性があるのみなので割愛します。


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