収入印紙を金券ショップで換金するという不正手段
株式会社構造計画研究所(JASDAQ)が2011年8月30日に「元取締役による不正支出について」を公表しました。
主な部分を抜粋すると、「元取締役が元取締役は、平成13 年9 月より本年3 月までの10年間にわたり、合計49 百万円の収入印紙を会社経費にて購入し、自ら保管するとともに随時、内45 百万円分を小分けにしながら金券ショップ等に持ち込み、遊興費等に流用したことが判明しました。」というものです。
脱税でよく用いられると言われている典型的な方法で、取締役が私腹を肥やしていたということです。1年あたり約5百万円、1か月あたり約42万円ということになります。
同社は6月決算で、平成22年6月期の販管費合計が約30億円なので、確かに目立たない金額かもしれません。
特に平成13年9月からということなので、毎年同じ程度不正を働いていたとするならば最初の期に異常値として内容を検討しないと発見できないかもしれません。
ちなみに同社の監査法人は「あると築地監査法人」という監査法人でした。上記が原因と推測されますが、9月2日に同社の会計監査人を「あらた監査法人」に変更することが公表されています。
過年度遡及修正との関係について、以下のように過年度の修正は行わないとしています。
「過去に費用処理されていたものではありますが、各年約4 百万円程度であり、過年度の財務諸表への影響を検証した結果を踏まえ、平成23 年6 月期(当期)決算においてその影響は軽微かつ限定的であることから過年度財務諸表の訂正は行わないことといたしました」
さらに、内部統制システムの評価については、「印紙管理の責任者である元取締役が不正支出を行ったため、責任者によるチェックを前提とした不正予防のための内部統制が十分機能しなかったという側面はあるものの、内部統制システム自体は一般的な水準を充たしており、また、本件不正が内部通報によって発覚し、調査委員会の調査により不正の内容を解明して損害額を全額回収することができたことを考慮すれば不正に対するチェック機能は有効に機能していると考えております」としています。
「調査委員会の調査により不正の内容を解明して損害額を全額回収することができたことを考慮すれば」という部分は内部統制の評価とは関係ないと思いますので、要約すれば「不正が内部通報によって発覚」したから内部統制に問題はないということのように読めます。
監査役の業務監査や内部監査ではなく、内部通報制度によって10年間継続した不正がやっと発覚して「チェック機能は有効」だとすれば、監査人に指摘されて発覚しない限り、チェック機能は有効となってしまいそうな気がしますが・・・・
最近1年の同社の株価の推移を見ると面白い形状になっています。決算発表?で株価が上昇し次の決算発表までに値を戻しまた上昇、そして下落。果たして次も繰り返されるのか注目です。
日々成長