閉じる
閉じる
閉じる
  1. 18監査事務所が会計士資格を誤表記で有報訂正が必要らしい
  2. 内部統制新基準が2025年3月期より適用に(公開草案)
  3. デューデリジェンス(DD)費用の税務上の取り扱い
  4. テレワークの交通費、所得税の非課税限度額適用の有無は本来の勤務地で判断…
  5. プライム市場上場会社、88.1%が英文招集通知を提供
  6. タクシー、インボイス対応か否かは表示灯での表示を検討?
  7. 副業の事業所得該当判断の金額基準はパブコメ多数で見直し
  8. 総会資料の電子提供制度、発送物の主流はアクセス通知+議案等となりそう
  9. 押印後データ交付の場合、作成データのみの保存は不可(伝帳法)
  10. 四半期開示の議論再開(第1回DWG)
閉じる

出る杭はもっと出ろ!

債権債務の相殺消去等で生じた換算差額の処理

連結財務諸表を作成する場合、親会社と子会社との債権債務および内部取引は相殺消去しなければなりませんが、今回は在外子会社との債権債務および内部取引の相殺消去の際に換算差額が生じた場合にどう処理するのかについてです。

何でそんなことをと思う方も多いかもしれませんが、この処理に関しては、連結会計システムを導入していると自動仕訳で起票されることになっていることも多く、どう処理していたか記憶が曖昧になっていたりします。

一般的には、換算云々の前に未達取引等の調整そのものがかなりの手間となりますが、取引通貨ベースでは残高等が一致しているものとします。この場合、グループ内の会社がすべて同一の換算レートで換算を行ったとすれば、換算により差額は生じません。

しかしながら、換算レートは統一されていないこともあり、換算により差が生じることがあります。これは、銀行間によっても多少公表しているレートが異なったりしますし、在外子会社の場合は例えば3月31日のレートといっても時差があるので日本とは換算レートが異なったりすることがあるためです。

結論からすれば、債権債務等の相殺消去時に生じた換算差額は以下のように処理することが考えられます。

①BS項目

為替換算調整勘定として処理する、あるいは、差額をその他流動資産(負債)で処理する

②PL項目

為替差損益として処理する

この点、外貨建取引等会計基準「三 在外子会社等の財務諸表項目の換算」の「4.換算差額の処理」において「換算によって生じた換算差額については、為替換算調整勘定として貸借対照表にの資本の部に記載する。」とされています。

また。同「3.収益及び費用」において「収益及び費用については、原則として期中平均相場による円換算額を付する。ただし、決算時の為替相場による円換算額を付することを妨げない。なお、親会社との取引による収益及び費用の換算については、親会社が換算に用いる為替相場による。この場合に生じる差額は当期の為替差損益として処理する。」とされています。

具体例で考えてみます。

親会社(日本)が米国の子会社に円建取引で100万円の売上を計上したとします(取引時のレートは1$=100円)。

この時、親会社および子会社の仕訳としては以下が考えられます。

上記の仕訳において、仮に子会社が期末時点で親会社の採用レートと同じ1$=80.5円で換算を行っていたとしたら、期末時点の為替差損が2,442.36$(1,000,000円÷80.5)となります。

この結果、当然ですが$ベースの買掛金を換算すると12,422.36$×80.5=1,000,000となって、債権債務の相殺消去において差額は発生しません。

つまり、上記の例で考えると、子会社の財務諸表を換算すると本来あるべき買掛金の金額(円建取引が前提なので100万円となるはず)よりも6,250円買掛金が大きく計上されてしまうことになります。そして、この影響は差額概念で計算される為替換算調整勘定に吸収されます(今回のケースでは負債が大きくなるので、為替換算調整勘定が本来あるべき金額よりも小さく計算されます)。

一方で、連結上の債権債務の相殺の仕訳で差額を為替換算調整勘定で処理すれば、両者の影響が相殺されて、結果として正しく計算されることになることがわかります。
したがって、このような差額は為替換算調整勘定で調整したほうが理論的だと考えられます。

しかしながら、かならずしも債権債務の差異内容が100%判明しているとは限りません(時間的な理由等で差を詰め切れないことはあります)。この場合、差額を為替換算調整勘定で処理してしまうと、為替換算調整勘定の金額が明らかにおかしな結果となってしまいます。
そのため、取引通貨ベースで差の調整が完全に行えているというのでなければ、差異はその他流動資産(負債)で処理するというのが現実的な方法ということになります。
本決算においては、少なくとも重要な差異は残っていないという前提にたてば、どちらで処理しても重要な影響はないということになりますが、四半期で片端消去を行う場合を考えると、その他流動資産(負債)として処理するようにしておくのがよいのではないかと考えられます。

次に内部取引の相殺消去についてみると、内部取引相殺の仕訳から195,000円の為替差益が生じますが、子会社のPLを期中平均レートで換算することにより為替差損が2,500$×80.5=201,250円となり、両者をネットすると6,250円の為替差損が残ります。

この金額は、外貨建取引等会計基準に従って、収益及び費用項目を親会社の用いたレートで換算した場合に生じる金額となります。

子会社の仕入を親会社が用いたARで換算したとすると12,422.36$と計算され、2,422.36$の為替差益が生じます。元々、子会社で計上されていた差損が2,500$なのでネットで77.64$の差損となり、円貨額だと77.64$×80.5=6,250円となります。

いつも機械的に行われている処理の確認でした。

日々成長。

関連記事

  1. 年金資産の期待運用収益率を見直す基準は?

  2. 会社の清算手続(その1)-総論

  3. 会社計算規則の一部改正-退職給付に関する会計基準に対応

  4. ビットコインは会計上現金扱い?

  5. 税務上の繰延資産の償却費の表示科目は?

  6. 時価算定会計基準を確認




カテゴリー

最近の記事

ブログ統計情報

  • 12,946,927 アクセス
ページ上部へ戻る