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出る杭はもっと出ろ!

「予想通りに不合理」とはよく言ったものだ。

かなり前から本棚に積読になっていた「予想通りに不合理」(ダン・アリエリー著)を読みました。結論としては、個人的にはかなり面白かったです。

本自体は行動経済学に関する本ですが、数式などは一切使用されておらず、従来の万能な人間を仮定している経済学では説明できない現象を、さまざまな実験結果をしめして考察しています。人によっては、若干説明がくどく感じる方もいるかもしれませんが、単純な読み物として面白いと感じました。

例えば、人は物事を絶対的な基準で決めることはまずなく、相対的に決定するという話が書かれています。そのことを確かめるため、エコノミスト誌の印刷版(125ドル)、印刷版+ウェブ版(125ドル)、ウェブ版(59ドル)の選択肢がある場合、どれを選ぶか実験したそうです。結果は100人中84人が印刷版+ウェブ版を選択したと書かれています。
それでは、価格は全く同一で、選択肢が印刷版+ウェブ版とウェブ版の二択であった場合であったとしたら結果はどうなるか???

面白いことに選択肢が二択となると、印刷版+ウェブ版を選択する人は32人に激減し、ウェブ単独が68人と増加したというのです。
言われてみれば、いくつか選択肢があるとお得感のあるものを探す傾向があるので、上記の結果は納得できるものです。

他にもいろいろと面白い内容が書かれていますが、もう一つ紹介すると市場規範と社会規範について述べられている章があります。

そして、市場規範と社会規範が衝突すると、人は市場規範に引き込まれ社会規範が消えてしまうとしています。
例えば専門家にボランティア的に低価格の報酬で仕事を依頼すると、専門家は市場規範の範疇で仕事捉え応じてもらえないが、完全に無料のボランティアとすると多くの専門家が引き受けてくれるというような内容も紹介されています。

これはなかなか怖いことで、日常生活の中でも感謝の気持ちを金銭で表現してしまうと、かえって相手の気分を害することがあるので注意が必要です。では、プレゼントはどうなのかについて同書では検討されており、結論としてはプレゼントの値段を口にしない限りにおいては、社会的交換の範囲にとどまることができると説明されています。

最後に、不正についても書かれており、会計士的発想でいけば現金同等物に近いものほど不正の対象となりやすいと考えてしまいますが、むしろ不正行為は現金から一歩離れた時にやりやすくなるということについても述べられています。

例えば完全に私用目的で1冊500円のファイルを会社の備品から持って帰ってしまうのはあまり罪悪感を感じない人であっても、会社の金庫等から500円効果をくすねるのはためらうのではないかということです。
確かに・・・と思うのは私だけでしょうか?

筆者は、このことを確認するために、大学寮の冷蔵庫に誰のものかわからないコーラと1ドル紙幣を入れておいてそれがなくなる期間について観察したと述べています。結果的に、?1ドル紙幣はなくならなかったのに対し、コーラがなくなるのにはそれほど時間がかからなかったというのです。

なんとなく面白そうだと思った方は、是非読んでみることをお勧めします。ただ、その後増強版が出版されているので、これから読む方はそちらの方がよいのではないかと思います。

私は時間を見つけて以下を読んでみたいと思います。

日々成長

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