結局オリンパスの上場は維持されそうです
今日の読売新聞の一面に「オリンパス上場維持へ 東証 違約金求める方向」という記事が載っていました。
同記事によると「損失隠しが10年以上にわたるなど、オリンパスの社内体制に問題があることを投資家に周知した上で、違約金の支払いを求める方向で検討している」とのことで、「月内にも最終決定する」とされています。
具体的なペナルティの内容としては、「上場違約金1000万円の支払いを求めるほか、社内の管理体制や情報開示に問題があることを投資家に知らせる特設注意市場銘柄にも指定する方向で検討している。特設注意市場銘柄に指定された場合、オリンパスは3年以内に社内の管理体制などを改善しなければ、上場廃止となる」と書かれています。
そして『東証は「虚偽記載の内容は重大だが、影響は限定的」として現時点の上場廃止にはあたらないとみている模様だ』としています。
どうやら上場廃止にはならないようですが、上場違約金1000万円というのは安すぎるのではないかと思います。正しく処理したとしても債務超過に陥っていないだとか、増資などをねらって株価を意図的につりあげていないとか、そんなことは結果であって、やっていることは相当悪質ではないかと思います。
この理屈でいえば、食品の消費期限を偽装して も、結果的に食中毒が発生していなければ多少のペナルティを払えば許されるということになってしまいます。
違約金で済ませるにしても、最低でも桁が一つ違うのではないかと思います。仮に1億円でも安すぎる気がしていますが・・・
また、「社内の管理体制などを改善しなければ、上場廃止となる」ということのようですが、この場合、内部統制監査との関係はどうなるのかも気になります。内部統制監査で「開示すべき重要な不備」がないということが上場維持の要件となるのか、それとは異なる内容なのかです。
内部統制監査の範囲外としてしまえば、そもそも内部統制監査の存在意義を著しく損なうので、現実的には?「開示すべき重要な不備」がなければOKということになりそうです。
だとすると、大多数の会社で「開示すべき重要な不備」は存在しないことからすれば、「社内の管理体制の改善」というのはそれほどハードルは高くないものと考えられます。
東証の本音としては、上場を維持するメリットがないとして自主的に上場廃止をする企業が目立ってきている中で、これ以上、上場企業が減ってはたまらないということではないかと思います。
有力な事業を有する上場企業は、債務超過にならない程度の粉飾であれば許されるというのが東証のメッセージととらえられても文句は言えないはずです。会計監査についてもその水準を要求するようにすれば、監査時間も少なくなって上場維持コストも下がるのではないでしょうか・・・
日々成長。