セグメント資産を配分していない会社の注記例
3月決算の会社は前回の3月期からセグメント情報の開示がマネジメントアプローチになりましたが、取締役会等へセグメント別の資産が報告されていないような場合には、マネジメントアプローチの趣旨からすると、セグメント別資産の開示は行わなくてよいのではないかと考えられますが、そのような事例があるのか調べてみました。
すると、それほど事例数は多くはないものののセグメント資産を開示していない事例が見つかりました。
②日本テレビ放送網(株) 東証1部 監査法人:トーマツ
③(株)KSK JQ 監査法人:あずさ
上記のうち①の(株)ノダについては、前期は90%以上の売上を占めるセグメントがあったため事業別セグメントが開示されていませんでしたが、日本テレビとKSKについては、旧基準の開示ではセグメント別に資産の額が開示されていましたが、現行の基準での開示ではセグメント別資産の開示が行われないようになっています。
会社単位でセグメントを区分できるような場合は、セグメント資産の集計も比較的容易ですが、一つの会社が複数のセグメントに属する活動を行っていると集計が煩雑になってきます。
特に、売上品目からセグメントを区分したものの、製造部門は一つというような場合には、減価償却費等の費用は使用時間等の基準で合理的に按分できますが、ストックとしての資産自体を何らかの基準でセグメントに按分することにあまり意味があるとは思えません。
そうはいっても、従来はすべて配賦不能にぶち込むというのは気がひけたので、なんらかの基準でセグメント別に資産を按分していたというのが実情ではないかと思います。
しかし、セグメント基準が改正されてマネジメントアプローチによることになったので、そもそも経営管理上マネジメントに報告されていないセグメント資産を開示する必要はなくなったため、上記の会社はセグメント資産の開示をやめたものと推測されます。
今後IPO準備等で、セグメント情報を作成する必要がある場合には参考になる事例です。
日々成長。