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一人当たり5000円以下であれば、居酒屋での交際費も損金算入できる?

前回のエントリで交際費の5,000円基準について書いたついでに、理解が曖昧だった点について確認することにしました。

ビール一本くらいなら会議費としても問題ないが、居酒屋ではさすがに会議費は認められないので接待交際費にしなければならないというような話を聞いたことがないでしょうか?

これが本当だとすると、一人当たり5,000円基準というのは居酒屋では認められないの???ということになってしまいます。

結論からすると、一人当たり5,000円以下の飲食費であれば、居酒屋であっても、それを証する書類保存を条件として交際費等から除くことができます。言い換えると、損金算入することができます。

整理していきます。

まず、租税特別措置法第61条の4によれば、「各事業年度において支出する交際費等の額は、当該事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入しない」というのが原則で、資本金が1億円以下の会社には例外で一部損金算入が認められるという建付けになっています。

そして平成18年の改正時から、上記でいうところの「支出する交際費等の額」から、1人当たり5,000円以下の飲食費(社内飲食費を除きます。以下同じ。)が一定の要件の下で除外されることになりました。

一定の要件とは、前回も記載しましたが以下の事項を記載した書類を保存すること(租税特別措置法施行規則21条の18の4)で、店の種類などの要件は特にありません。

①飲食年月日

②得意先等参加者の名称・使命とその関係

③参加者数

④飲食代金及び飲食料理店名、その住所

⑤その他の参考となるべき事項

したがって、「1人当たり5,000円以下の飲食費」であれば、居酒屋やバーでの接待であっても交際費等から除外することが可能となります。

では、カラオケはどうなのか?

この点について、「交際費課税のポイントと重要事例Q&A(第2版) 西巻 茂著」において以下のようなQ&Aが紹介されていました。

Q 「得意先社長はカラオケが大好きです。カラオケスナックでは歌の合間に軽食をつまみますが一人当たり5,000円以下の場合も多いです。飲食があるため5,000円基準に該当しますか。」

A 「カラオケはその場所にもよります。カラオケスナック等は歌うことが主であり、飲食といってもおつまみ程度が多いと思われます。5,000円基準で交際費等から除外できるのは、「飲食の接待」の場合です。したがって、カラオケスナック等は、たとえ飲食があったとしてもおつまみ程度である場合には交際費等からの除外はできません。」

ということで、主が食べることであれば5,000円基準の適用もありえるということになり、ケースバイケースで判断が必要となります。

話が最初に戻りますが、では「ビール一本くらいなら会議費としても問題ない」というのは何だったのでしょうか?

これは、会議費と接待交際費の区分に焦点をあてた話だと思われます。

勘定科目の使用方法は会社によって異なるかもしれませんが、税務上接待交際費として取り扱うべきもののみを会計上も「接待交際費」として計上し、損金算入できるものについては会計上「会議費」で計上するという処理を行っているケースが多いのではないかと思います。

「交際費課税のポイントと重要事例Q&A(第2版) 西巻 茂著」によれば、平成18年改正の目的は、「得意先との商談、打ち合わせ等に際しての飲食が会議費となるか交際費等となるかの判定トラブルが絶えないことから、企業の商談等を円滑にするために(販売促進)、また、会議費等との判断を容易にするために、たとえ接待目的であっても「一人当たり5,000円以下」の飲食代は形式基準・金額基準で交際費等から除くことにしたものです」とされています。

このことからも、実質的には接待交際費であるものの以前の3000円基準などから損金算入できそうなものは会議費として計上するというのが多くの会社で行われているのではないかと推測されます。

そこで、会議費と交際費の関係についても確認しておいたほうがよさそうですが、これは次回に譲り、今回はここまでとします。

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