高額な会社負担の社員旅行は給与認定される可能性に注意
社員旅行の会社負担額を巡る課税当局の判断につき、国税不服審判所の裁決を不服として税務訴訟を提起していた判決が平成24年12月25日に出ました。
これは、従業員の50%以上が参加したマカオへの2泊3日の社員旅行で、会社負担額が一人あたり約24万円であったものを課税当局は給与等に該当するものとして会社側に源泉義務が発生すると認定したものです。
社員旅行の会社負担については、(所得税基本通達36-30の運用について所得税基本通達36-30の運用について(法令解釈通達))で以下のように述べられています。
使用者が、従業員等のレクリエーションのために行う旅行の費用を負担することにより、これらの旅行に参加した従業員等が受ける経済的利益については、当該旅行の企画立案、主催者、旅行の目的・規模・行程、従業員等の参加割合・使用者及び参加従業員等の負担額及び負担割合などを総合的に勘案して実態に即した処理を行うこととするが、次のいずれの要件も満たしている場合には、原則として課税しなくて差し支えないものとする。
(1) 当該旅行に要する期間が4泊5日(目的地が海外の場合には、目的地における滞在日数による。)以内のものであること。
(2) 当該旅行に参加する従業員等の数が全従業員等(工場、支店等で行う場合には、当該工場、支店等の従業員等)の50%以上であること。
上記で要求される要件は、①現地4泊5日以内、かつ、②全従業員等の50%以上が参加することの2点です。
上記の事案は、法令解釈通達で要求される2要件を満たしていますが、課税当局は一人あたりの負担額が高額として給与等に該当するという判定を下しました。その後、裁判所も同様の判定を下しました。
国税不服審判所は、海外社員旅行の一般的な会社負担額(旅行費用の平均額8万1154円の70.1%に相当する5万6889円)を大きく上回る点を指摘し、給与等とした課税当局の判断を指示しました。
「裁判所は、海外旅行の立案者である原告企業の代表者が、予算について特に指示しなかったため、マカオで最高級のホテルが宿泊先となるなどマカオを渡航先とする一般的な旅行と比べて、割高となった点を指摘している」(T&A master No.495)とのことです。
なお、この事案は現在、東京高裁で係争中とのことで、最終的な結論はまだでていませんが、一人あたりの負担額が高額だと2要件を満たしていても給与認定される可能性があるという点には注意が必要です。
こんな時代だから社員旅行くらい豪勢でもいいじゃない!と、個人的には思いますので、この企業にはがんばってもらいたいと、陰ながら応援します。
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