子会社の重要性が乏しいため連結財務諸表を作成していない場合の事業報告の記載方法は?
今回は事業報告の「重要な親会社及び子会社の状況」についてです。
子会社は存在するももの重要性が乏しいため連結財務諸表を作成していないようなケースにおいて、事業報告上はどう取り扱うべきかです。
事業報告のタイトルが「重要な」子会社の状況ですから、重要性がないため連結財務諸表を作成していないのであれば、ここで記載するのは変だと思いますので、事例を調べてみることにしました。
1.ソフトウェアサービス(2013年10月期)
同社では、以下のように子会社が1社あるものの、重要性が乏しいため連結財務諸表は作成していません。
3.連結財務諸表について
当社では、子会社(1社)の資産、売上高、損益、利益剰余金及びキャッシュ・フローその他の項目から見て、当企業集団の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に関する合理的な判断を誤らせない程度に重要性が乏しいため、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則(昭和51年大蔵省令第28号)」第5条第2項により、連結財務諸表は作成しておりません。
なお、資産基準、売上高基準、利益基準及び利益剰余金基準による割合は次のとおりであります。
資 産 基 準…0.6%
売 上 高 基 準…2.3%
利 益 基 準…1.7%
利益剰余金基準…0.2%
同社の事業報告の記載を確認すると、以下のようになっていました。
「記載すべき事項はありません。」というのはよい表現だと思います。重要な子会社はないという意味で「該当事項はありません。」という記載も考えられますが、子会社がないというとらえ方をされる可能性もあるので、「記載すべき事項はありません。」の方が無難な表現だと思います。
2.情報企画(2013年9月期)
同社も子会社は存在するものの連結財務諸表は作成していません。各基準の数値は示されていないものの、基本的には1.ソフトウェアサービスと同様の記載なので記載例は省略します。
同社の事業報告を確認してみると、以下の記載されていました。
前述のとおり「重要な」子会社はないという意味で「該当事項はありません。」という記載もおかしくはありませんが、個人的には「記載すべき事項はありません。」のほうが親切な気がします。
3.大日本コンサルタント(2013年6月期)
この会社の場合も、以下のとおり子会社はあるものの重要性が乏しいとして連結財務諸表を作成していません。本題からは逸れますが、一時的に利益基準で20%超の影響があるようになったような場合であっても、過去の状況を勘案して連結除外している事例でもあるので実際の開示例を示しておくことにします。
同社の事業報告を確認すると、以下のとおりそもそも「重要な親会社及び子会社の状況」項目自体が存在しませんでした。
項目自体を削除するというのは、どちらかといえばマイナーな記載方法だと思います。
4.その他
上記の他、子会社があるものの連結財務諸表を作成していない場合の「重要な親会社及び子会社の状況」の事例のみいくつかピックアップしておきます。
①コロプラ(2013年9月期)
当社は、子会社を2社を有しておりますが、重要性が乏しいため記載を省略しております。
②オルトプラス(2013年9月期)
子会社の重要性が乏しいため、記載を省略しております。
③太洋物産(2013年9月期)
該当事項はありません。
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