「連結財務諸表に関する会計基準」等の改正(その1)-非支配株主持分の取り扱い1
平成25年9月にASBJから「連結財務諸表に関する会計基準」(以下「連結会計基準」とします)、「企業結合に関する会計基準」(以下「企業結合会計基準」という)等の改正が公表され、それに続いて平成26年2月24日に「連結財務諸表における資本連結手続きに関する実務指針」(以下「連結実務指針」とします」)や「連結財務諸表における税効果会計に関する実務指針」等の改正が公表されました。
これらの内容を何回かに分けて確認していこうと思います。
1.少数株主持分の名称の変更
従来「少数株主持分」とされていたものが「非支配株主持分」という名称に変更されました。
改正連結会計基準第26項では「子会社の資本のうち親会社に帰属しない部分は、非支配株主持分とする」とされています。
2.当期純利益の概念の変更
従来、連結損益計算書に表示されていた当期純利益は親会社株主に帰属する利益を意味していました。確認するまでもないかもしれませんが、現状は以下のように当期純利益の前で非支配株主に帰属する損益を加減したものが当期純利益として記載されることになります。
(出典:2013年3月期NEC 連結損益計算書)
改正連結会計基準では、当期純利益には非支配株主に帰属する利益も含めて表示するように変更されています。
この点については改正連結会計基準39(2)②において、「税金等調整前当期純利益に法人税額等(住民税額及び利益に関連する金額を課税標準とする事業税額を含む。)を加減して、当期純利益を表示する。」とされています。
これにより、連結損益計算書は以下のような記載となります。
(出典:「包括利益の表示に関する会計基準」設例1)
なお、包括利益計算書における表示科目については、従来「親会社株主に
(出典:「包括利益の表示に関する会計基準」設例1)
非支配株主持分の連結BSにおける表示箇所は?
当期純利益に非支配株主持分も含めて表示されることとなりましたが、従来通り株主資本には親会社株主に帰属する部分のみが表示されることとされています(「貸借対照表の純資産の部の表示に関する会計基準」7項(2))。
1株当たり当期純利益の基礎になるのは?
1株当たり当期純利益の基礎となるのも、従来どおり、親会社株主に帰属する当期純利益を基礎として計算するとされています。
この点について「1株当たり当期純利益に関する会計基準」12項では以下のように定められています。
「なお、本会計基準においては、損益計算書上の当期純利益、当期純損失は、連結財務諸表においては、それぞれ親会社株主に帰属する当期純利益、親会社株主に帰属する当期純損失とする。」
注記項目の増加
親会社株主に係る成果に関する情報として有用であるとして、企業結合会計基準52項(4)において、「非支配株主との取引によって増加又は減少した資本剰余金の主な変動要因及び金額」が新たな注記項目として追加されました。
今回はここまでとします。
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