平成26年3月期-定率法から定額法への変更は90社(経営財務調べ)
経営財務3179号に平成26年3月期の会計方針の変更の集計結果がまとめられていました。
平成26年3月31日決算で日本基準を採用した上場2,397社のうち、会計方針の変更を開示していた会社は170社でした。
170社のうち91社が有形固定資産の減価償却方法の変更で、うち90社が定率法から定額法への変更だったとのことです。
定率法から定額法へ変更した会社数は平成24年3月期50社、平成25年3月期70社であったので、過去3年で200社以上が定率法から定額法への変更を行ったということになります。
IFRSを意識したものなのか、以前”税務上定率法の廃止が濃厚!!”というエントリで紹介したとおり税務上も定率法が廃止される可能を見込んだものなのかはわかりませんが、過去3年の傾向を見る限り、定率法から定額法への変更は今後も増えていきそうに感じられます。
もっとも、三菱ケミカルホールディングスやアルプス電気のように連結でのみ会計方針を定率法から定額法へ変更している会社も散見され、国内での設備投資額が大きい会社の場合は、連結財務諸表上のみ会計方針を定額法へ変更するという選択肢がとられることになるのではないかと考えられます。
経営財務の記事には定率法から定額法へ会計方針を変更した90社の社名が列挙されています。ざっと社名を眺めたところ、「CYBERDYNE」社が目につきました。
何故目についたのかというと、CYBERDYNE社は、今年の3月26日に東証マザーズに上場したばかりの会社であったためです。同社のIの部を確認してみると、平成26年3月期の第3四半期連結財務諸表の注記に定率法から定額法への変更が記載されていました。
同社は上場の申請期に耐用年数を3年から5年に延長したうえ、償却方法を定率法から定額法へ変更するというような変更を行っています。確かに変更すべき理由があれば、申請期であっても会計方針を変更してはならないということはないですが、利益を増やしたいがための変更というような目でみられるので実際には行いにくい変更ではないかと思います。
ちなみに同社はこの変更により約2200万円損益が改善されています。しかしながら、第3四半期(連結初年度)で営業損失が約6億円、直前々期、直前期の営業損失(単体)が8.6億円、8.5億円と多額の損失が生じているので、変更による影響が損益に対する影響度は小さく、このような変更も許容されやすかったものと考えらえます。
とはいえ、めずらしい事例として記憶しておく価値はあるのではないかと思います。
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