所得拡大促進税制の確認(その2)-用語の意義
“所得拡大促進税制の確認(その1)“の続きです。
5.用語の意義
適用要件で登場した用語の意義は以下のようになっています。
(1)雇用者給与等支給増加額
適用事業年度の雇用者給与等支給額から基準雇用者給与等支給額を差し引いた金額のことをいいます。
つまり、
雇用者給与等支給増加額=雇用者給与等支給額-基準雇用者給与等支給額
ということです。
(2)雇用給与等支給額
国内雇用者に対して支給する俸給、給料、賃金、歳費および賞与並びにこれらの性質を有する給与の額で、当該事業年度において損金算入される金額のことをいいます。
(3)国内雇用者
国内雇用者とは、法人または個人事業主の使用人のうち法人または個人事業主の有する国内事業所に勤務する雇用者のことをいいます。国内雇用者は、雇用保険の一般被保険者でない者も含む概念となっています。
なお、当該法人の役員の特殊関係者や使用人兼務役員は、上記でいうところの「使用人」から除かれます。また、役員の特殊関係者には、以下の者が該当します。
- 役員の親族
- 役員と婚姻の届け出をしていないが事実上婚姻関係と同様の事情にあるもの
- 上記1.、2.以外の者で役員から生計の支援を受けている者
- 上記2.、3.の者と生計を一にするこれらの者の親族
(4)基準雇用者給与等支給額
平成25年4月1日以後に開始する各事業年度のうち最も古い事業年度の前事業年度の雇用者給与等支給額のことをいいます。
回りくどい定義ですが、3月決算会社の場合、平成25年3月期の雇用者給与等支給額ということになります。
平成25年4月1日以後に開始する各事業年度のうち最も古い事業年度→平成26年3月期
その前事業年度→平成25年3月期
(5)比較雇用者給与等支給額
適用事業年度の前事業年度の雇用者給与等支給額のことをいいます。
3月決算会社で、適用事業年度を平成27年3月期とすると、平成26年3月期の雇用者給与等支給額ということになります。
(6)平均給与等支給額
平均給与等支給額とは、雇用保険の一般被保険者を対象とし、以下の算式により計算した金額をいいます。
平均給与等支給額=適用事業年度の継続雇用者に対する給与等÷給与等の月別支給対象者の数を合計数
上記でいうところの継続雇用者に対する給与等とは、簡単に言えば前期から引き続き雇用されている者に対する給与等の金額のことです。つまり、退職者や当事業年度における新規採用者に対する給与等は除かれるということです。
平均給与等支給額の対象となるのは、雇用保険の一般被保険者のみであるため、継続雇用されているものであっても、雇用保険の対象となっていないパートタイマーや日々雇入れらるものに対する給与等は含まれないという点に注意が必要です。
また、継続雇用者というと定年後の継続雇用制度により継続雇用されている者を連想する方もいるかもしれませんが、継続雇用制度の対象者に対する給与等は反対に除く必要がある(一般被保険者ではない)ので混乱しないように注意が必要です。
(7)比較平均給与等支給額
適用事業年度の前事業年度の雇用者給与等支給額のうち、継続雇用者に対する給与等を、適用事業年度における月別支給対象者の数を合計した数で除して計算した金額をいいます。
用語の意義だけで、嫌になりそうですが、細かい点は”所得拡大促進税制の確認(その3)-雇用者給与等支給額(各論)“に譲ることとします。
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