外形標準課税の拡大の方向性が明らかに-平成27年度税制改正大綱
法人実効税率引き下げに伴う課税ベース拡大として法人事業税の拡充が検討されていましたが、平成27年度税制改正大綱によると以下のような方向で改正が行われることが明らかになりました。
「資本金の額又は出資金の額(以下「資本金」という)1億円超の普通法人の法人事業税の標準税率を次のとおりとし、それぞれ平成27年4月1日から平成28年3月31日までの間に開始する事業年度及び平成28年4月1日以後に開始する事業年度から適用する」として以下の税率が表示されています。
なお、上記表の括弧内の率は、地方法人特別税等に関する暫定措置法適用後の税率となっています。
段階的に税率が変更されることとなり、税効果の計算は少し面倒になりそうです。
また、今回の改正要綱では、「資本割の課税標準の見直し等」として以下の改正が予定されている点です。
現行の資本割の課税標準である資本金等の額が、資本金に資本準備金を加えた額を下回る場合、当該額を資本割の課税標準とする。
法人住民税均等割の現行の税率区分の基準である資本金等の額に無償増減資等の金額を加減算する措置を講ずるとともに、当該資本金等の額が資本金に資本準備金を加えた額を下回る場合、当該額を均等割の税率区分の基準とする。
これは、従来外形標準課税の資本割は、課税標準が法人税法上の資本金等の額とされているところ、近年の自社株買いの活発化により大企業で資本金等の額が減少し、課税標準となる資本金等の額が規模に比して僅少な金額となっているケースがあったという問題に対応するための改正とのことです。
税務上の資本金等の額は自社株買いによって減少するものの、会社法に基づく資本準備金を減少させるためには総会決議が必要となるため、資本金等の下限を「資本金+資本準備金」とすることによって、課税回避を行いにくくするというのがねらいです。
そもそも法人税を引き下げる意味があるのかはともかくとして、会社の規模に応じた課税を求めるという方向性は間違っていないように感じます。一方で、業績が悪くなり無償減資により欠損填補を行った場合には、資本金等の金額も引き下げるというような改正も考慮してもらいたいところです。
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