平成27年度税制改正大綱(その1)-法人実効税率の引き下げ
今回は先月閣議決定された平成27年度税制改正大綱のうち法人実効税率の引き下げについて確認していきます。
法人実効税率の裏側では財源確保のため課税ベースの拡大があるので、法人実効税率の引き下げがよいことなのかは議論の分かれるところだと思いますが、政府は法人実効税率を下げる→世界から金が集まる→日本が上向くというロジックで動いているようです(本音は課税ベースの拡大にあるのかもしれませんが・・・)。
法人実効税率については、最終的には20%台を目指すとし、法人税率を平成27年4月1日以後に開始する事業年度より23.9%(現行25.5%)に改正するとしています。
加えて、大法人向けの法人事業税所得割の標準税率については、外形標準課税が拡大されるため以下のように引き下げるとされています。
平成27年度 6.0%(現行7.2%)
平成28年度 4.8%
法人税率の引き下げと法人事業税所得割の標準税率の引き下げにより、標準税率ベースの法人実効税率は以下のように低下するとされています。
平成27年度 32.11%(現行34.62%)
平成28年度 31.33%
現状東京都であれば35.64%がよくみる法定実効税率であるため34.62%という税率は見慣れない税率ですが、標準税率ベースで計算すると34.62%となります。
法人事業税の標準税率(資本金等1億円超の普通法人)の改正予定をまとめると以下のようになっています。
上記の通り、付加価値割と資本割の税率が拡大されますので、資本金等1億円超の普通法人で業績が芳しくない会社にとっては、法人実効税率の引き下げとは裏腹に税負担が重くなることが予想されます。
税制大綱には中小企業のうり7割が赤字法人であり、一部の黒字法人に税負担が偏っている状況を踏まえ、継続して中小法人課税の検討が必要である旨が述べられていますが、平成27年度税制改正大綱では中小法人の軽減税率(所得金額のうち年800万円以下の部分の税率を15%とするもの)の適用期限を2年延長するとされています。
税制改正大綱のとおりに改正されるとまた税効果の計算やら注記やらが面倒となりそうです。
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