有価証券報告書作成の留意点(平成27年3月期)-その3
少し間隔が開きましたが、平成27年3月期の有価証券報告書の留意点-その3です。
1.連結財務諸表の会計方針のタイトルの変更
従来は、以下の事例のように連結財務諸表の会計方針については「会計処理基準に関する事項」というタイトルと付されていました。
これが「会計方針に関する事項」に改正されました。会計方針に関する事項の方が自然ではありますが、「会計処理基準に関する事項」も見慣れたタイトルなのでうっかりしていると変更するのを忘れてしまいそうなので注意が必要です。
2.未適用の会計基準
企業結合会計基準を原則適用することを前提とすると、連結財務諸表を作成する会社では「企業結合に関する会計基準」、「連結財務諸表に関する会計基準」等に加え、平成27年3月26日に公表された実務対応報告18号「連結財務諸表作成における在外子会社の会計処理に関する当面の取扱い」が該当する可能性があります。3月26日公表分なので、ピックアップ漏れに注意が必要です。
ただし、改正された実務対応報告18号の適用開始は平成27年4月1日以後開始する連結会計年度の期首からが原則ですが、、「平成 27 年改正実務対応報告公表後最初に終了する連結会計年度の期首から適用することができる」とされています。
改正内容は、大きく二つで、①米国基準で非公開会社に限り「のれん」の償却が認められることとなったことに対応し、のれんの償却を行っていない場合のみ修正が必要とするように改正された、②企業結合会計基準の改正により少数株主損益の会計処理に関する基準間差異が解消したことに対応して、従来修正項目とされていた「少数株主損益の会計処理」が削除されました。
3.2年目から財務諸表等規則127条の特例財務諸表を作成する場合
連結財務諸表作成会社の8割くらいは特例財務諸表を作成しているとのことですが、初年度に単体開示の簡素化の規定を適用し、2年目から特例財務諸表を作成する場合は表示方法の変更を記載する必要があるとのことなので注意が必要です。
改正財規を初めて適用する場合は表示方法の変更による影響額の記載は不要とされていますが、これは単体開示の簡素化も含めて初めてかが判断されるため、初年度に単体開示の簡素化を適用していた場合に、今年から特例財務諸表に変更する場合には表示方法の変更の注記を記載することが必要となるとのことです。
4.女性役員の開示
以前”平成27年3月期の有報から女性役員の人数開示義務化が決定”というエントリで記載したとおり、第三号様式が改正されたことにより、今回の有価証券報告書から女性役員の人数の開示が必要となります。
様式通りに記載すればよいのですが、女性役員が0人の場合はどう記載するのかが問題となります。
宝印刷のセミナーでは、様式が下記のようになっていることから女性役員がいないとしても項目を削除することは認められず、「0人」または「-人」という記載が考えられるとのことです。また比率については、小数点1位を四捨五入して整数表示するのが一般的になるのではないかとのことでした。
5.その他
企業結合会計基準を早期適用した場合や従業員等に信託を通じて自社の株式を交付する取引を行っている場合には、それぞれ会計方針の変更等の記載が必要となりますが、該当することは少ないと思いますので詳細は割愛します。
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