期中選任された取締役の任期はいつまで?
今回は期中に選任された取締役の任期についてです。
期中に取締役が選任されることは、多くはありませんが、取締役会設置会社で3名しかいなかった取締役の1名が何らかの事情で取締役でなくなったというようなケースでは、期中であっても取締役が選任されます。あるいは、上場準備会社で、社外取締役を臨時株主総会で選任するというようなこともあります。
1.取締役の任期の原則
取締役の任期は、原則として、選任後2年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会終結の時までとされています(会社法332条1項)。
したがって、期中に選任された取締役の任期については、原則としては翌事業年度の定時株主総会終結の時までということになります。ただし、レアなケースだと思いますが決算日後定時株主総会までに臨時株主総会で選任された取締役の場合は、条文からすると任期は翌々事業年度の定時株主総会の終結の時までということになります。
この場合、実際の取締役就任期間が2年を超えることになっていいのかなと気になりますが、定時株主総会で選任されたケースであっても選任時の定時株主総会が6月10日、選任後2年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の開催日が6月28日であったような場合には、2年を超えることはありますので、特に問題とはならないものと考えれます。
2.取締役の任期の例外
取締役の任期は上記が原則ですが、定款または株主総会の決議で短縮することは可能です。一方で、非公開会社の場合(監査等委員会設置会社および指名委員会等設置会社を除く)は、定款をもって、選任後10年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会終結の時まで伸長することができます(会社法332条2項)。
また、剰余金の配当等を取締役会の決議で行う場合には、取締役の任期は選任後1年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会終結の時までとしなければなりません(会社法459条1項)。
3.任期の起算点は?
取締役の任期の起算点は、旧商法では就任の時からとされていましたが、会社法では選任の時からとなっています。
したがって、3月決算会社が3月に臨時株主総会で取締役を選任し、当該取締役が取締役に就任したのが4月1日であったとしても、任期はあくまで選任時を起点に判断されるため、仮に取締役の任期が1年であるとすると、6月の定時株主総会の終結の時までが任期ということになります。
また、会社法329条3項に定める補欠として選任された取締役についても、就任時ではなく選任時が任期の起算点となることから、実際に補欠取締役がいつ取締役に就任したとしても、任期は選任決議から2年以内(原則の場合)に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会終結の時までということになります。
4.任期が満了するケース
以下の場合には、取締役の任期は満了するとされています。
- 監査等委員会または指名委員会等を置く旨の定款の変更
- 監査等委員会または指名委員会等を置く旨の定款の定めを廃止する定款の変更
- その発行する株式の全部の内容として譲渡による当該株式の取得について当該株式会社の承認を要する旨の定款の定めを廃止する定款の変更(監査等委員会設置会社または指名委員会等設置会社がするものを除く)
したがって、上場準備会社において、譲渡制限をはずす定款変更を行ったような場合には、その時点ですべての取締役の任期が満了し、再選任が必要となります。なお、この場合に任期が満了するのは、非公開会社では取締役の任期が10年まで伸長できることから、その廃止の場合には任期を満了することとしたためとのことです。
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