是非実現を-「ディスクロージャーワーキング・グループ」第3回会合
経営財務3250号に「ディスクロージャーワーキング・グループ」第3回の会合の内容が掲載されていました。
このWGの第1回・第2回会合の内容は、実務を担当している身からすると是非とも頑張って貰いたいというものが多かったですが、第3回の内容も期待してしまう内容となっていました。
まず、東証の静正樹委員からは、「決算短信は、法定開示の『確報』に対する『速報』としての位置づけで整理してはどうか」という意見が出されたとのことです。
従来から短信はそういった位置づけだったと思いますが、特に四半期短信は四半期報告書の提出も45日のため、ほとんど差がなく双方が開示されることも多かったのが実態です。
今回提案された具体策は、①開示システムの整理、②開示システム(TDnet)の改善の二つです。
②の開示システム(TDnet)の改善については、改善要望の多いシステム上の手動操作を自動化し、開示実務の負担軽減・効率化を図るというものですが、これは敢えてここで提案するようなことではなく顧客のことを考えれば当然やるべき内容です。
一方で①は、東証がそう提案してくれるなら実務担当者としては即採用してしまえという内容です。すなわち、開示事項を、速報情報として必要不可欠な「サマリー情報」、「経営成績等」、「財務諸表」に限定する案とされています。
この案では「会計基準の選択に関する基本的な考え方」は継続とのことですが、「経営方針」や「継続企業の前提に関する重要事象」等は不要とされています。また、「経営成績・財政状態、今後の見通し」について、現状は分析的な開示が要請されていますが、概況の開示を要請するというように変更が提案されています。
しかも、「財務諸表の精査が完了していない場合で、それらを開示しなくとも投資判断を誤らせる恐れがない場合」は、財務諸表を開示可能となった時点で追加的に開示するということも認める方向となっています。
現実問題として、財務諸表を開示しなくとも「投資判断を誤らせる恐れがない場合」があるのかは、よくわかりませんが、上記のような改正がなされると、短信の作成は随分楽になるのは事実です。
一方で、上記の案では決算短信に開示されている経営方針については、なくなるわけではなく有価証券報告書に開示することとされていますが、そうであっても有報で作成すればよいというのであれば時間的な余裕もあってありがたい内容です。
この他、有価証券報告書では、「業績の概要」と「財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」の統合、「新株予約権等の状況」、「ライツプランの内容」、「ストックオプション制度の内容」の統合についても検討されています。これらについても、同じ内容をコピーして貼り付けるということが多いので、是非とも早急に実現してもらいたいところです。