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短信の公表に取締役会決議は必要か

上場会社が短信を公表する際には、取締役会で決議が行われていることが多いと思いますが、そもそも短信の公表にあたり取締役会決議は必ず必要なのでしょうか。

あまり真面目に考えたことがありませんでしたが、適時開示ガイドブックによれば、取締役会決議などの形式的な側面にとらわれることはなく、業務執行を実質的に決定する機関による決議・決定が行われた時点で開示するとされています。

上記から答えとしては必ずしも取締役会決議は必要ないというものですが、公益社団法人日本監査役協会が公表している「役員等の構成の変化などに関する第13回インターネット・アンケート集計結果(監査役設置会社版)」によると、回答のあった上場会社1795社のうち83.1%に相当する1491社が決算短信を取締役会決議事項としており、残りの234社(13.0%)が報告事項としていたとのことです。

したがって、会社の職務分掌規程や権限規定で定めることによって、代表取締役の承認やCFOの承認によって決算短信を公表するということは可能ということになりますが、上記の結果からすると、やはり取締役会の決議をとっておくというのが無難といえそうです。

それでは何故大多数の会社は決算短信の公表を取締役会決議事項としているかですが、決算短信の公表が「その他の重要な業務執行の決定」(会社法362条4項)に該当すると考えているということなのではないかと思います。もっとも短信はそもそも速報値としての意味合いのものですので、その本来の意味合いからすれば適時開示ガイドブックで述べられているとおり業務執行を実質的に決定する機関による決議・決定によって開示すればよいと考えられます。

しかしながら、実務上は短信で公表される財務数値は、その後に提出される四半期報告書や有価証券報告書の財務数値と一致しているのが当然だと考えられており、実務上は速報値というレベルのものではなく確定値に近いものとして取締役会で決議しているのではないかと推測されます。

ちなみに、上記日本監査役協会のインターネットアンケート集計結果では、有価証券報告書の提出について、回答のあった1796社のうち、決議事項として付議されていると回答したのは全体の50.9%にあたる915社でした。報告事項として付議していると回答した会社が20.4%に相当する367社で、付議していないとした会社が514社(28.6%)となっています。

短信と比較すると、決議事項とされている会社の割合は約30%減少しており、付議すらしていない会社が約3割存在しています。決算短信で承認をとっているので、有報は取締役会の決議は不要と考えている会社が約半数あるということです。もっとも西武鉄道のように大株主の状況の虚偽記載を原因として上場廃止に追い込まれるようなこともあるこからすれば、財務数値に変動はないといっても油断はできませんので、約半数は短信同様、決議事項として処理しているようです。

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