平成28年税制改正に伴う外形標準超過税率対応状況(4/1更新)
[2016年4月1日更新]
税務通信3401号の税務の動向で、外形標準課税に超過税率を採用している8都道府県の状況のまとめが掲載されていました。
外形標準課税で超過税率を採用しているのは、北から宮城県、東京都、神奈川県、静岡県、愛知県、京都府、大阪府、兵庫県となっています。
このうち大阪府は平成28年3月14日に大阪府議会で審議中の改正税条例案の詳細を公表しました。このように審議中の条例案の詳細を公表するのは前例がないそうですが、超過税率に関する問合せが多数寄せられたことから公表に踏み切ったとのことです。
公表された条例案では、平成28年度に適用される所得割の超過税率は0.88%となっています。なお、大阪府の超過税率の適用期限は平成29年10月31日までに終了する事業年度となっていますが、今回の改正条例案で平成29年度適用分も合わせて税条例の改正が行われる一方で、適用期限の延長は織り込まれておらず、今後議会で検討するとのことです。
このような状況で3月決算を前提とすると、平成30年3月期以降の法定実効税率はどう計算するのかですが、従来継続して超過税率を採用してきていますし、平成29年度適用分の条例改正を行う以上、延長後の期限がいつになるかは不明ではあるものの延長されることを前提に計算するというのが妥当だと考えられます。
ちなみに、大阪府の超過税率は、従来、地方法人特別税暫定措置法適用後の標準税率+同法適用前の標準税率×5%で計算されていましたが、上記の0.88%も同様の計算方法によって計算されたものとなっています。
以下の記事で記載したとおり、適用指針では超過税率の条例が成立していないケースにおける超過税率部分の算定方法が二つ例示されていますが、平成30年3月期以降適用税率については、上記の計算方法からすると、改正地方税法等に規定されている標準税率に、決算日において成立している条例に規定されている超過課税による税率における改正直前の地方税法等の標準税率に対する割合を乗じて算定するのが合理的と考えられます。
なお、東京都も大阪府の計算方法と同様となっていますので、基本的な考え方は同様といえます。昨年の改正時、東京都の都条例は4月1日成立・公布となってしまいましたが、今回は都知事の「専決処分」で3月中に改正条例を成立させる予定とのことです。
この予定どおりであれば、平成29年3月期適用分については確定した税率を用いて法定実効税率を算定することが可能となります。一方で、平成29年度適用分については、大阪同様今回の専決処分では改正せず、6月に開催される議会等で審議して改正する予定となっています。
税務通信の記事によると東京都・大阪府も含め各都道府県の状況は以下のようになっています(以下に記載のとおり平成28年度分は対象都道府県すべて3月31日までに改正条例が成立・公布されています)。
都道府県 | 成立方法(予定) | 超過税率 | H29年度分 |
---|---|---|---|
宮城県 | 専決処分 | 検討中 | 6月以降の議会で改正 |
東京都 | 同上 | 同上 | 同上 |
神奈川県 | 同上 | 同上 | 同上 |
静岡県 | 同上 | 同上 | 同上 |
愛知県 | 同上 | 従来と同じ計算方法 による上乗せ分を採用 | 同上 |
京都府 | 同上 | 同上 | 同上 |
大阪府 | 3月中に可決予定 | 同上 | 今回の議会で 決定予定 |
兵庫県 | 3/28成立公布 | 3/28成立公布 | 同上 |
兵庫県では改正条例が県議会で可決され、翌23日に平成28年度に適用される外形標準課税適用法人の超過税率が以下のとおり公布されました。
所得割(年800万円超)・・・0.88%
付加価値割・・・1.26%
資本割・・・0.525%
残りの7都道府県についても3月31日に改正条例が成立・公布されました。平成28年度に適用される超過税率は以下のようになっています。
なお、神奈川県はHPが4月1日付けで更新されており、以下のように掲載されています。
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