平成28年3月期から適用される税制改正内容を確認(その3)
平成28年3月期決算に影響する平成27年度以前の税制改正の内容について確認していきます。
7.資本割の課税標準・法人住民税均等割の税率区分の基準変更
平成27年4月1日以後開始事業年度より、法人住民税均等割りの税率区分の基準に用いられる「資本金等の額」が法人税法上の資本金等の額に対して、一定の無償増減し相当額と欠損てん補額を加減算したものを法人住民税の「資本金等の額」とすることとされています。
では、外形標準課税の資本割は?ということになりますが、外形標準課税の資本割について既に同様の取扱いが取られていたので、両者とも同様の取扱いになったということになります。
上記の改正に合わせて、平成27年4月1日以後開始事業年度から、外形標準課税の資本割の課税標準および法人住民税の均等割の税率区分の基準が「資本金等の額」と「資本金+資本準備金」を比較し、いずれか大きい金額とされています。
なお、上記の改正は平成27年4月1日以後開始事業年度ですが、平成13年4月1日以後に実施された無償減資が調整の対象となる点に留意が必要です。
8.所得拡大促進税制
平成27年度税制改正によって、平成28年4月1日から平成29年3月31日に開始する事業年度における増加割合の基準が5%から4%に引き下げられていますが、平成28年3月期は特に影響はありません。
ただし、あるセミナーでも取り上げられていましたが、出向者の取扱いについては注意が必要なようです。
出向先が出向元に支出した出向先に支出した出向者に係る給与負担金の額は、出向先では所得拡大促進税制対象の給与等支給額とすることができますが、そのためには出向先の賃金台帳に出向者が記載されていることが要件とされています。
実務上、出向元から出向者の人件費負担分の請求書が送付されてきて支払を行っているのみということも考えられますが出向先が出向者に支出した給与負担金の額について、出向先で出向者に係る賃金台帳の記載がない場合は所得拡大促進税制の対象とすることができないということになります(措通42の12の4-3)。
なお、出向者に対する給料を出向先が負担し出向元に支払う場合、出向元では出向先から受け取った給与負担額を所得拡大促進税制の給与等の額から控除する必要があるとされていますが、仮に出向先で賃金台帳が作成されていないことにより所得拡大促進税制対象の給与等として取り扱われていなかったとしても、出向元での取扱いに変更はありません。
出向先でどのように取り扱われているのかはわからないので当然といえばそれまでですが、グループ内での出向では、出向先での取扱いについての情報を得られることもあり、出向先で対象給与等と取り扱っていないのであれば、出向元で対象給与等として取り扱ってもよいのではないかと考えると間違ってしまうのであらためて注意が必要です。
賃金台帳の記載のほか、出向者については以下の二点についても注意が必要です。
賃金台帳の記載事項
参考までに労働基準法で定められている賃金台帳の記載事項を確認しておくと以下のようになっています(労働基準法施行規則第54条)。
- 氏名
- 性別
- 賃金計算期間
- 労働日数
- 労働時間数
- 法第三十三条 若しくは法第三十六条第一項 の規定によつて労働時間を延長し、若しくは休日に労働させた場合又は午後十時から午前五時(厚生労働大臣が必要であると認める場合には、その定める地域又は期間については午後十一時から午前六時)までの間に労働させた場合には、その延長時間数、休日労働時間数及び深夜労働時間数
- 基本給、手当その他賃金の種類毎にその額
- 法第二十四条第一項 の規定によつて賃金の一部を控除した場合には、その額
今回はここまでとします。
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