平成28年度税制改正に係る減価償却方法の変更に関する実務上の取扱い(案)が公表されました
2016年4月22日にASBJから「平成28年度税制改正に係る減価償却方法の変更に関する実務上の取扱い(案)」が公表されました。
平成28年度税制改正により、平成28年4月1日以後に取得した建物附属設備及び構築物の法人税法上の減価償却方法について定率法が廃止され、定額法のみとなる見直しが行われたことにより、会計上もこれらの減価償却方法を定額法に変更することが正当な理由にもとづく会計方針の変更となるのか否かという点を明らかにしたものとなっています。
結論としては第2項で以下のように定められています。
従来、法人税法に規定する普通償却限度相当額を減価償却費として処理している企業において、建物附属設備、構築物又はその両方に係る減価償却方法について定率法を採用している場合、「平成28 年4 月1 日以後に取得する当該資産に係る減価償却方法を定額法に変更するときは、法令等の改正に準じたものとし、会計基準等の改正に伴う会計方針の変更として取り扱うものとする。
ただし、上記の取扱いは第5項で「本実務対応報告は、公表日以後最初に終了する事業年度のみに適用する。」とされていることから、3月決算の場合は平成29年3月期のみに認められる取扱いとなります。
なお、上記公開草案の意見募集は平成28年5月23日までとなっており、4月決算(公表時期によっては5月決算会社)はどうなるのかですが、この点については同じく第5項で「ただし、平成28 年4 月22 日平成28 年4 月1 日以後最初に終了する事業年度が本実務対応報告の公表日前に終了している場合には、当該事業年度に本実務対応報告を適用することができる。」とされています。
したがって、適用可能な時期は、実質的に「平成28 年度税制改正に係る減価償却方法の変更に関する実務上の取扱い」の公表日後最初に終了する事業年度ということになります。
また、当取扱いを適用し減価償却方法を定率法から定額法へ変更した場合には、「会計上の変更及び誤謬の訂正に関する会計基準」の定めにかからわず以下の二点を注記することとされています。
- 会計方針の変更の内容として、法人税法の改正に伴い、本実務対応報告を適用し、平成28 年4 月1 日以後に取得する建物附属設備、構築物又はその両方に係る減価償却方法を定率法から定額法に変更している旨
- 会計方針の変更による当期への影響額
この実務対応報告は5項からなる短いもので、上記でほぼすべてなのですが、興味深いのは5項しかないうちの一つ(3項)で以下のように定められている点です。
3. 前項に記載する会計方針の変更以外の減価償却方法の変更については、自発的に行う会計方針の変更として取り扱うものとする。
第2項で適用対象となる条件が明確になっているので、それ以外の変更については自発的に行う会計方針の変更になるというのは明らかだと考えられますのが、あえてここで記載する特別な意図があるのだろうかと気になります。
ASBJがこの実務対応報告(案)を公表した際の「平成28 年度税制改正に係る減価償却方法の変更に関する実務上の取扱い(案)」の公表”においては「本公開草案の概要」についてまとめられていますが、第3項の内容については特に触れられていません。
このようなことからすると、第3項に特別な意味はなく、単なる確認規定と考えてよさそうです。
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