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会計監査人の新日本監査法人からの変更はいまのところ8社

経営財務3262号に5月23日までに会計監査人の異動を公表した会社の集計結果が掲載されていました。

この記事によると、会計監査人の異動を公表した会社は13社で、このうち8社は新日本監査法人から他の監査法人への変更となっています。

上記の8社には東芝および東芝と関係が深い芝浦メカトロニクス、西芝電機が含まれています。したがってこれら3社を除く5社について新日本監査法人から他の監査法人へ会計監査人を変更した会社のリリースで変更理由等を確認してみることとしました。なお、東芝等3社はいずれもあらた監査法人へ会計監査人を変更する旨を公表しています。

1.東京鋼鐵(JQ)→あずさ監査法人へ変更

東京鋼鐵のケースでは、大阪製鐵株式会社が親会社になったことに伴い、親会社の会計監査人に変更することが理由として掲げられています。親会社の変更による会計監査人の変更は、よくある事なので、これは東芝の一件が原因というわけではなさそうです。

2.ハイマックス(東一)→監査法人トーマツに変更

異動の理由は、任期満了によるとされています。会計監査人の任期は1年で満了するので、「任期満了」は理由の説明としては不十分だと思いますが、ある意味決まり文句にようなものなのでそれはそれとして、監査法人トーマツを候補者として選任した理由を確認すると、「当社の会計監査人選定基準に照らし、公認会計士等の規模、経験等の職務遂行能力及び独立性、内部管理体制等を総合的に勘案した結果、適任と判断したため」と記載されています。

上記の記載を反対解釈すれば、「当社の会計監査人選定基準」に適合しなかったため、会計監査人を変更したとも読めます。

3.トーカロ(東一)→京都監査法人

トーカロも変更の理由は任期満了となっています。京都監査法人を候補者とした理由は、「現会計監査人の継続監査年数を考慮し、新たな視点での監査が期待できることに加え、(以下省略)」とありますので、これは東芝の件が引き金となっていると考えるのが自然だと思います。

4.ANAホールディングス(東一)→監査法人トーマツ

ANAも直接的な理由は「任期満了」となっています。会計監査人の候補者を選定した理由としては、ハイマックス社の開示と類似していますが、「当社が展開する事業分野への理解度等を総合的に勘案し」と記載されている点に特徴があります。

そうであればJALの監査を担当しているあずさ監査法人かという気もしますが、トーマツが候補者として選定されています。

ちなみに、ANAの監査報酬がどのくらいなのかと気になったので2015年3月期の有価証券報告書を確認してみると、125百万円(この他、非監査業務7百万円)で、思ったほどではありませんでした。

面白いのは、2015年3月期のJALの監査報酬もほぼ同額の124百万円となっている点です(JALの場合は、非監査業務に基づく報酬が68百万円ありますが)。単なる偶然なのでしょうか・・・

5.桑山(JQ)→A&Aパートナーズ

異動の理由は、お決まりの任期満了となっています。会計監査人候補者選定の理由として特徴的なのは「交代時の引継体制ならびに監査報酬等を総合的に勘案し」と述べられている点です。

交代時の引き継ぎ体制ということであれば、あずさもトーマツも問題があるとは思えませんので、決め手は監査報酬ということになりそうです。

2015年3月期の有価証券報告書では、監査報酬28百万円、非監査業務に基づく報酬9百万円となっています。監査報酬については2016年3月期も同じ位で推移しているものと思われますが、果たして2017年3月期の報酬がどのくらい変化するものなのかは気になります。

監査報酬に不満を持っていたところ、東芝の件で会計監査人を変更する会社があるので、これを機に変更したといったところでしょうか。

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