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法人税申告書勘定科目内訳明細書の作り方(その1)

法人税の申告書には勘定科目内訳明細書を添付しなければなりません。ところが、別表の作成方法を解説している書籍は多々ある一方で、勘定科目内訳明細書の作り方について述べられている書籍はみあたらず、税務当局からフォーマットで提供されている内訳表の脚注の記載を参考になんとなく作成していましたが、「新版 記載例でわかる 法人税申告書 プロの読み方・作り方 (別表/勘定科目内訳明細書/法人事業概況説明書のチェックポイント)」という書籍で勘定科目内訳明細書の作り方が詳しく解説されていましたので、あらためて記載方法等を確認してみることとしました。

各内訳明細書の確認に入る前に、内訳書の作成に共通しているのは、当たり前ではありますが、財務諸表に計上されている勘定科目残高との関係がわかりやすいように記載しましょうというものです。

1.預貯金等の内訳書

預貯金等の内訳書は以下のようなフォームとなっています。
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脚注に記載されている注意点は以下の三つです。

  1. 取引金融機関別に、かつ、預貯金の種類別に記入する。
  2. 「金融機関名」欄には、斜線の左側に金融機関名を、右側にその支店等の名称を記載する。
  3. 預貯金等の名義人が代表者になっているなど法人名と異なる場合には、「摘要」欄に「名義人〇〇〇〇」のように名義人を記入する。

上記で記載が求められている点に加え、財務諸表の勘定科目残高との関係を明確にするという観点から上記の書籍で提案されているのは、以下の点です。

  1. 預貯金ですが「等」とついているので、現金も記載することで金額合計が、現金及び預金残高と一致するように記載するとよい。
  2. 固定資産に計上されている長期性預金がある場合は、区分して記載し、小計欄を設けるのがよい。
  3. 摘要欄には、定期預金の満期日や外貨預金の換算レートを記載すると、会社内部のチェックに有用である。

現金残高を記載していなくても現金及び預金残高との差額が現金残高と推測される程度であれば気にすることはないのかもしれませんが、現金及び預金の残高が明細と一致していないのは気持ちが悪いですし、不必要な興味を税務署に抱かれないためにも現金残高は記載しておいた方がよいのではないかと思います。

また、外貨預金を保有している場合、この内訳書以外に勘定明細がないということであれば換算レートを記載して、税理士さんのチェック等を受けるというのも換算替え漏れを防ぐためには有用だと思いますが、間違ってそのまま申告してしまった場合に、間違っていることを暴露することとなるので、個人的にはあえてここに記載しないほうがよいのではないかと思います。

2.受取手形の内訳書

受取手形の内訳書のフォームは以下のようになっています。
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脚注に記載されている注意点は以下の六つです。

  1. 一取引先からの受取手形の総額が100万円以上のものは個別に記入し、その他は一括して記載する。ただし、100万円以上のものが5口未満の場合は、期末残高が大きい者から5口程度を記載する。
  2. 融通手形については、各別に記入し、摘要欄にその旨を記載する。
  3. 為替手形の場合、引受人の氏名及び住所を摘要欄に記載する。
  4. 差出人と債務者が異なる場合、その債務者の氏名および住所を摘要欄に記載する。
  5. 「支払銀行欄」には「〇〇/大手町」のように記載する。
  6. 「割引銀行名等」欄には、割引銀行名又は裏書き譲渡先名を記載する。

受取手形については上記の他、以下の点が述べられていました。

  1. 不渡手形がある場合には、その旨と日を摘要欄に記載する。
  2. 不渡りとなったことにより破産更生債権等へ科目が振り替えられているようなものは、計上科目別に区分して記載し小計欄を設ける。

また、電子記録債権がある場合には、BSでの計上科目に合わせて内訳明細書に記載しておくことが提案されています。

電子記録債権は受取手形のようなものなので、内訳書上も「受取手形」の明細に記載するほうが趣旨にはあっているとは思いますが、BS上「受取手形」で処理しているのでなければ、内訳書の記載の手間を考えると「売掛金(未収入金)の内訳書」のほうに記載したほうが楽かなという気はします。

3.売掛金(未収入金)の内訳書

売掛金(未収入金)の内訳書のフォームは以下のようになっています。
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脚注に記載されている注意点は以下の三つです。

  1. 「科目」欄には、売掛金、未収入金の別を記入する。
  2. 相手先別期末残高が50万円以上のものについては、各別に記入し、その他は一括して記入する。ただし、50万円以上のものが5口未満のときは期末残高の大きいものから5口程度を記入する。
  3. 未収入金については、その取引内容を摘要欄に記入する。

売掛金(未収入金)の内訳書についても、財務諸表の計上科目との関係を明確にするため、破産更生債権等に科目を振り替えたようなものについては区分して記載することが提案されています。

上記書籍では、受取手形・売掛金(未収入金)毎に破産更生債権等に振り替えられた項目を記載する方法が提案されていますが、複数の明細に破産更生債権等が分割して記載されるのはかえってわかりにくいように思いますので、個人的には売掛金(未収入金)の内訳書にまとめて記載してしまうのもよいのではないかと思います。

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