年齢の計算方法
年金の経過措置等をみていると、「昭和16年4月2日以降生まれ」等、対象の期間の開始日が「4月1日」でなく「4月2日」となっています。また、小学校等への入学時期も「4月1日生まれ」までが早生まれとして前の学年になりますが、これらは何故なのかというお話です。
結論から言うと、年齢の計算方法が法律で決まっていて、法律的には誕生日の前日に年をとることになっていることによります。つまり4月1日生まれの人は3月31日に年をとることになるため、年度末(3月31日時点)で一定の年齢の人を対象に何かを決めようとする場合には、「XX年4月2日以降(以前)生まれ」というような決め方になります。
具体的な法律としては、大分昔にできた法律ですが「年齢計算ニ関スル法律(明治35年法律第50号)」があります。
この法律はたった3項のみの法律ですが、上記のような状況を作っている原因ですので紹介します。
年齢計算ニ関スル法律(明治35年法律第50号)
(1) 年齢ハ出生ノ日ヨリ之ヲ起算ス
(2) 民法第百四十三条ノ規定ハ年齢ノ計算ニ之ヲ準用ス
(3) 省略(昔の法律を廃止する旨の定め)
第1項は要するに、生まれた時刻が何時かを一切問わず、生まれた日を第1日目として年齢を計算しますということです。
次に上記第2項で出てきている、民法143条では以下のように定められています。
民法143条(暦による計算)
(1) 週、月又は年によって期間を定めたときは、その期間は、暦に従って計算する。
(2) 週、月又は年の初めから期間を起算しないときは、その期間は、最後の週、月又は年においてその起算日に応当する日の前日に満了する。ただし、月又は年によって期間を定めた場合において、最後の月に応当する日がないときは、その月の末日に満了する。
民法143条の第2項により、「起算日に応当する日の前日」に1年という期間が満了するので誕生日の前日に法律上は1歳、年をとることになります。
ちなみに学校への入学時期については、学校教育法によって定められています。
例えば、小学校への入学時期は、学校教育法第17条で以下のように定められています。
第17条 保護者は、子の満6歳に達した日の翌日以後における最初の学年の初めから、満12歳に達した日の属する学年の終わりまで、これを小学校又は特別支援学校の小学部に就学させる義務を負う。(以下省略)
ポイントは、この条文の「満6歳に達した日の翌日以後における最初の学年の初め」です。前述の通り4月1日生まれの子供は3月31日に満6歳に達するわけですので、「満6歳に達した日の翌日以後における最初の学年の初め」は翌日(すなわち自分の誕生日である)4月1日ということになり前の学年に入ることになります。
法律でそうなっているとしてもややこしいですね。
日々成長。