オイルシェールの天然ガス化
本屋で「いまアメリカで起きている本当のこと 日高義樹著」という書籍をパラパラとめくっていたら「オイルシェールを地下深くで天然ガス化した」という章が目に留まりました。
著者の経歴をみると、NHKに入局しニューヨーク支局長、ワシントン支局長を歴任し、現在はハーバード大学タウブマン・センター諮問委員をしている方のようです。ハーバード大学タウブマン・センターが何なのかはよくわかりませんが、アメリカに精通している方のようです。
同書によると、アメリカ西部の地下2000メートルにグリーンリバー層と呼ばれるオイルシェールの埋蔵地域が広がっており、アメリカエネルギー省はこの地下2000メートルに広く分布されているオイルシェールガスを天然ガス化して、地上で採取する方法をついに見つけたそうです。
従来からオイルシェールについては、これまでも天然ガス化や液体化(石油化)が進められていたそうですが、そのほとんどが地下の浅い所に存在しているか地面に露出しているオイルシェールをガス化、液体化しようとするもので、環境面への悪影響が大きく、またコストも高いことから開発がほとんどすすんでいなかったそうです。
上記の技術が一般的になれば、天然ガスのコストが原子力発電のコストよりも安くなる上、今後数十年アメリカはエネルギー問題で悩まなくてよくなるとされています。
今回の福島原発の問題もあり、この技術が本当であればアメリカでの新たな原発利用は当面見送られることになる可能性が高いといえます。原発で強い東芝や日立にはかなりの向かい風となるかもしれません。
「アメリカ政府は詳しいことを全く発表していない」とのことであるので、事の真偽は今後の情報を待つしかないですが、本当だとすると資源価格等への影響も大きく、アメリカの銀行等がこれらの情報を元に大儲けするという構図が見え隠れします。投資先として米国の有力コモデティファンドを検討してみようと思います。
また、私は全く知りませんでしたが、イラク戦争の原因は、ブッシュ政権がイラクの石油を狙い核兵器を口実にアメリカ軍を送り込んだというのが定説になっているというのには驚きました。
一方で、アメリカは環境保護の観点等で開発が制限されるものの埋蔵量としては石油や天然ガスの埋蔵量が豊富であるということなので、最近はアメリカが日本と同様にデフレ化してきたという話を聞きますが、やはり天然資源を有している国の強みというのはありそうです。
筆者はこうした技術がアメリカから生じる大きな理由の一つは、大学の力としています。最近の国連の教育白書で、世界で最も優秀な20の大学のうち、17はアメリカの大学であり、これらの大学との産学協同のシステムが先進的な産業技術を開発する原動力になっていると分析しています。
ちなみに、残りの三つはイギリスのオックスフォードとケンブリッジ、日本の東京大学だそうです。東大が入っているのが意外でしたが、日本人としては素直にうれしく感じます。
最近はアメリカの時代は終わるというような論調が多いですが、天然資源と人材、軍事力という点からすると一方的に崩れ去っていくということ単純に考えることはできないかもしれません。
日々成長