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グループ法人税と税効果(子会社株式等の売却)

グループ法人税にかかる税効果として、最後にグループ内における投資(子会社株式等)の移転に係る税効果を確認することにします。

1.個別財務諸表

まず、税務上の処理を簡単に確認しておくと、完全支配関係を有する内国法人間において、譲渡損益調整資産を譲渡したことにより生じた損益は、譲渡法人側において繰延べることが必要となります。
譲渡損益調整資産には、簿価1000万円以上有価証券が含まれるので、税務上の簿価が1000万円以上簿価の子会社株式等をグループ内で譲渡した場合は注意が必要です。

会計上(個別)上の取扱いとしては、他の譲渡損益調整資産と同様の取扱いとなり特殊な点はありません。
強いてあげるとすれば、連結税効果の子会社への投資に係る一時差異のように、将来加算一時差異について投資の売却等が予定されている場合を除き税効果を認識しなくてよいのではないかという点がありますが、そのような規定は個別税効果の実務指針には存在しないため原則どおり繰延税金負債を計上することが必要と考えられます。

簡単な例で確認します。

<前提>

・P社(親会社)は、100%子会社(直接保有)であるA社、B社を有する
・P社はA社株の50%(簿価1000)をB社に1200で売却する。
・上記の売却株式は、譲渡損益調整資産に該当するものとする。

<P社における税効果>

上記の場合、P社で計上されるA社株式売却益200について税務上利益の繰延が行われるので、P社の個別財務諸表において以下の仕訳が必要となります。

借方)法人税等調整額 80 貸方)繰延税金負債 80

2.連結財務諸表

連結財務諸表上の税効果については、少々特殊な整理がされているので注意が必要です。普通に考えると、連結上グループ内部で生じた売買損益が消去され資本連結が行われるため、消去された売却損益に対して税効果をとるように考えてしまいますが、そのような整理になっていませんので注意が必要です。

連結税効果の実務指針第30-2項では、以下のように定められています。

「 企業集団内の会社が企業集団内の他の会社に投資(子会社株式又は関連会社株式)を売却すると、個別貸借対照表上の投資簿価が購入側の取得原価に置き換わることになり、投資の連結貸借対照表上の簿価との差額、すなわち、連結財務諸表上の一時差異の全部又は一部が解消することとなる。
企業集団内での投資の売却により、追加的に又は新たに発生する一時差異については、第30項に従い会計処理することになる。
なお、ある会社が完全支配関係にある他の会社に投資(子会社株式又は関連会社株式)を売却したことにより発生した譲渡損益の繰延べに係る税務上の調整資産又は負債に係る個別財務諸表上の一時差異の税効果については、連結財務諸表上も、修正されずに、個別財務諸表上において認識された繰延税金資産又は繰延税金負債が計上されることになる。」

わかりにくいので、前述の例で、連結上の簿価が1,100であったものとして、具体例で考えてみます。

まず、P社において簿価1,100であったA社株をB社に1,200で売却することによって、「個別貸借対照表上の投資簿価が購入側の取得原価に置き換わ」ります。
連結やグループ法人税の考え方となんとなく違和感がありますが、グループ内で譲渡が複数回にわたって行われたりすることがあることを考えると、便宜的にこのように処理せざるを得ないのではないかと思います。

上記の前提では、連結上の簿価は1,100です。元々、会計上の個別簿価=税務上の簿価(1000)であったものが、譲渡によって個別簿価1,200、税務上の簿価1,000、連結上の簿価1,100という関係に変化します。

個別簿価が1,000から1,200に変更される過程を分解すると、1,000→1,100の部分が実務指針でいうところの「連結財務諸表上の一時差異の全部又は一部が解消する」ということになり、1,100→1,200の部分が「企業集団内での投資の売却により、追加的に又は新たに発生する一時差異」ということになります。

上記の関係を図で示すと以下のようになります。

なお、売却前の個別簿価1000と連結上の簿価1100との差異については、売却の意思決定が明確となった時点で留保利益に対して税効果(繰延税金負債)を認識することになると考えられます。

すなわち、以下の仕訳が必要となります。
借方)法人税等調整額 40 貸方)繰延税金負債 40

そして売却によって上記の差異は解消するので、売却時に上記の逆仕訳を行うこととなります。P社の個別財務諸表上は税務上繰り延べられる売却益200に対して繰延税金負債80が計上されることとなりますが、これは子会社への投資に係る税効果とは別物であるという点をよく認識しておかないとなんだかよくわからないことになります。

また、「追加的に又は新たに発生する一時差異については、第30項に従い会計処理する」ということなので、1100→1200の100については、譲渡予定がなければ繰延税金資産は計上しません。

最後に念のため記載しておくと、連結税効果の実務指針第30-2項の前半部分「企業集団内の会社が企業集団内の他の会社に投資(子会社株式又は関連会社株式)を売却すると、個別貸借対照表上の投資簿価が購入側の取得原価に置き換わることになり、投資の連結貸借対照表上の簿価との差額、すなわち、連結財務諸表上の一時差異の全部又は一部が解消することとなる。」という部分については、グループ法人税導入前から基本的に変化はありません(改正により若干の文言変更あり)。

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