中国経済のバブルは継続するか?(その2)
前回の続きです。
副島氏が中国の経済に明るい見通しをもつ最大の根拠は、「今の中国に世界経済をけん引するだけの潜在的に巨大な需要(消費力、購買力)がある」ことだと思います。
世界同時不況で、輸出が沿岸部で停滞して生じた不況を内陸部や周辺の国々で加熱する消費インフレが飲み込んでいくとしています。
この点については、確かに潜在的な需要は相当なものですが、需要できるための原資(収入)がなければなりません。2010年に起きた賃上げを求めるストライキや、それを容認する中国の姿勢は、この内需を生み出すことを目的としているように思います。
さらには、レアアースの輸出規制は、レアアースを使用する精密機器等を製造したいのなら中国に工場を作って雇用を創出せよということだと理解できます。内需が拡大しなければ、中国の成長の前提が崩れます。
また、不動産バブルについては、「今の中国の指導者たちはバカではないと踏んでいるので、このバブル経済危機をなんとか乗り切ると思う。」としている一方で、「うまくいかなければ、中国バブルは頂点までいきついて、そして大爆発するしかない。」としています。
日本では年収の5倍程度が購入可能な物件の限度と言われていますが、中国では年収の30倍程度のマンションを購入している人がかなり多くいるとしています。
直観的には、かなり危険な状況なように感じます。Voice(2011年1月号)で大前研一氏が書いている記事によると、すでに中国では新築の空室(多くは投機で購入したアパート)が7千万戸あるといわれているそうです。しかも中国のマンションは完成形ではなく、コンクリートを打ちっぱなしの状態で売られているので、風呂もトイレも設置がなされていないそうです。
徐々に収入がアップしているといっても、不動産価格の上昇を抑えようとすれば、借金の返済が滞り不良債権化するのが先にやってくるのではないかと思います。
副島氏の主張は結局のところ、中国は内需の拡大が見込め、中国の指導者達は賢いのでこれからは中国の時代がやってくるということになるのですが、いまいち論拠としては明確ではなく感じられたのが残念です。
最後になりますが、副島氏の「アジア人どうし戦わず」という主張には大賛成です。国益が対立し言い争うことがあっても、戦争だけはしないというのは心に止めておきたいものです。
日々成長