源泉所得税を過大に納付した場合はどうなる??
給与計算の担当者は相当神経を使って作業をされていますが、そうはいっても人間のやることなので間違ってしまうことがあります。その結果、源泉所得税を多く計算して納付してしまった場合はどうなるのかが今回のテーマです。
税金を多めに納付しているということなので、税金的には気が楽な間違いですが、ケースによっては従業員等との関係はかなり気まずくなります。
納付額が過大になるケースとしては、以下のようなケースが考えられます。
①源泉徴収の計算の際に、適用税率を誤って税額を過大に徴収してしまったケース
②そもそも源泉徴収不要なのに源泉徴収してしまったケース
③源泉徴収した金額よりも多い額を納付したケース。例えば従業員から源泉所得税として10を預かったにもかかわらず20を納付したようなケース
源泉所得税を本来おさめる額よりも多く納付してしまった場合には、基本的に「源泉所得税の誤納額還付請求書」を提出することにより、過大に納付した金額の還付を受けることができます。
ただし、この請求権は、国税通則法第74条により、請求をすることができる日(納付日)から5年で時効により消滅するとされています。
また、納めすぎた源泉所得税額が給与等に係るものである場合には、「源泉所得税の誤納額還付請求書」に代えて、「源泉所得税の誤納額充当届出書」を提出することにより、納めすぎた税額を届出書を提出した日以後に納付すべき給与等の源泉徴収額に充当することができます(所得税基本通達181~223共―6)。
なお、「源泉所得税の誤納額充当届出書」の記載要領として「ただし、充当が長期間(おおむね3月以上)にわたる場合には別様式の源泉所得税の誤納額還付請求書で還付の請求をしてください。」とされていますので、充当期間が3ヶ月以上必要な大きな間違いの場合は還付を請求することになります。
ところで、過大に源泉徴収された従業員あるいは専門家が確定申告で過大に徴収された源泉所得税を精算することができるかという点も気になるところです。
結論としては残念ながら、そのような精算は行うことはできず、あくまで源泉徴収義務者が国との窓口になって処理をすることが必要となります。このように実際に所得を受ける者(納税者)と国との関係が分断されている点が源泉徴収という制度の大きな特徴であるといえます。
税金的により深刻な、納付額が過少であったケースについては次回のテーマとします。
<参考>
「源泉所得税の誤納額還付請求書」
http://www.nta.go.jp/tetsuzuki/shinsei/annai/gensen/annai/pdf2/235.pdf
「源泉所得税の誤納額充当届出書」
http://www.nta.go.jp/tetsuzuki/shinsei/annai/gensen/annai/pdf2/236.pdf
日々成長。