たばこの値上げによる税収への影響の議論はありますが・・・
私個人は喫煙しませんので、影響はありませんが、小宮山厚労相の1箱700円という「たばこ増税」発言が波紋を広げているようです。
タバコを値上げすると税収が増加するのか減少するのかという議論はありますが、どうやら小宮山厚労相は税収確保という意味ではなく「喫煙者の8~9割が本当は禁煙したいと思っている」ため健康を守る目的から値上げが必要と主張しているようです。
ちなみに「700円」というのは、税収のことも考えて喫煙者が減少しても税収が減少しないレベルということらしいです。
少し前に話題になったハーバード大学のマイケル・サンデル教授の「これから「正義」の話をしよう」という著書のなかに「肺がんの便益」という一節があります。
その節では、タバコ会社のフィリップモリスが、チェコ共和国で政府が喫煙による医療費増加を懸念してタバコ増税を検討した時に行った費用便益分析について書かれています。その結果は、喫煙で政府が失うお金よりも得られるお金の方が多いというものでした。理由は、「喫煙者が生きているあいだは国家予算の医療費負担が増えるものの、喫煙者は早死にするため、政府は医療費、年金、高齢者向け住宅などにかかる少なからぬ費用を節約できる」ということによります。なお、金額的には年間1億4700万ドルにもなると試算されたとのことです。
同書は哲学についての本なので、人の命を貨幣価値に置き換えて分析することの是非について議論していますが、タバコの増税で税収の確保を考えるのであれば、上記のように喫煙しないことによって増加するであろう社会保障費も考慮する必要は確かに必要かもしれません。
国としては喫煙しないで長生きしてもらっては困るということは絶対に言えないことだと思いますので、社会保障費まで考慮すると、タバコの増税により財政状態の改善を図るという議論はそもそも成り立たないのではないかと思います。
少し穿った見方をすれば、これ以上平均寿命が延びては困ると考えている人は税収が減るという理屈を隠れ蓑にタバコの値上げに反対しているだけかもしれません。
最後に、タバコにかかる税金はいったいいくらなのかを確認したところJTのHPでは以下のような図表で解説されていました。
(JTのホームページより抜粋)
1箱410円の商品の場合、消費税を除いた税額は244.88円になりますので、1箱20本として1本あたり12.244円ということになります。
いままで一度も見たことがありませんでしたが、タバコにかかる税金の国税部分は「たばこ税法」(第11条)、地方税部分は「地方税法」(第74条の5、第468条)、特別税部分は「一般会計における債務の承継等に伴い必要な財源の確保に係る特別措置に関する法律」(第8条)で定められています。
例えば、「たばこ税法」第11条第1項では、「たばこ税の税率は、千本につき五千三百二円とする。」と定められています。税率が定められているのではなく、千本あたりの税額が定められているというのが特徴的といえそうです。
TVCMで見かける「お医者さんと禁煙」という方法やニコレットが市販されているなど、10年前と比べれば禁煙を成功させやすくなっている環境を考えるとタバコの値上げによる喫煙者の減少数は予想よりも多くなるのではないかと思います。
非喫煙者としては、分煙がきちんとなされていて喫煙者のマナーに問題がないのであれば、吸いたい人が吸える値段にしてやればいいのではないかという気はします。
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