おいしいから売れるのか、売れているからおいしいのか?
サイゼリアの創業者である正垣泰彦氏が書いた「おいしいから売れるのではない売れているのがおいしい料理だ」という本を紹介します。
近所にサイゼリアの店舗がないので、最近はほとんど行く機会がありませんが成功した経営者の書いた本なので参考になることがあるのではないかと思い手に取りました。
サイゼリアの発祥の地は千葉県市川市で、最初は青果店の2階で人目に付きにくい場所であったためお客は全く来なかったそうです。そこでメリューを5割引にしてみても客がこない、さらに7割引きにして、スパゲティの価格帯を150円から200円くらいにしたら、客数が1日20人から一挙に800人まで増えた と書いてあります。
正垣氏は、不況下で大切なのは売上の確保ではなく、無駄をなくすことだと書いています。そして無駄をなくすのに一番効果があるのは今までやっていたことをやめることだとしています。飲食店でいえばメニューを絞ることが該当し、加えて自分の店でだせない強いメニューを作ることとしています。
最もだと思いますが、なかなか難しい課題です。同氏は店主が自分の給料を削ってその分原価を上げてでも核商品を作る位の覚悟が必要としています。また飲食店市場は完全にオーバーストアの状態にあるので、消費者は用途別に飲食店を選ぶという仮定のもと、特定の用途に特化した飲食店を目指すべきとしています。
飲食店に限らず、市場を分析して成功する確率の高い戦略を考えるということの重要性を改めて感じました。
この本のタイトルにもなっていますが、同氏は人は何かを考える時、成功体験などを前提に自分の都合の良い結論を導き出してしまいがちと指摘しています。例えば、店で一番人気のある料理は「おいしいから売れている」と考え、そこから、この料理は競争力があるのだから、もっと売るために判断を下すかもしれないということです。
しかしながら、他の料理よりましだからやむを得ず注文しているだけかもしれず、自分の都合の良い結論を無意識のうちに導き出してしまうことが問題だと指摘しています。
このような事態を避けるため、物事をありのままに見ることが重要だと指摘し、そのために、可能な限り数値や客観的なデータに置き換えて因果関係を考えることが重要だと書いています。
成功する経営者は、なんだかんだいっても、合理的と考えられる戦略をたて経営しているのだと感じました。
業態は限られますが、同氏は多店舗展開を成功させるためのポイントとして以下の四つを挙げています。
①教育システム
②投資リターン
③立地創造
④顧客にとっての便利さ
詳細はここでは述べませんが、②の投資リターンについてはROIやROAで20%以上を目指したいとしておりハードルは結構高いように感じました。
日々成長