連結納税の税効果(その1)
今回は連結納税の税効果についてです。
はじめて連結納税を開始すると、どうしていいのか勝手がわからず迷いますが、計算手順等については、「連結納税制度を適用する場合の税効果会計に関する当面の取扱い(その2)」(実務対応報告第7号)にしたがって処理することになります。
まず、連結納税を採用している場合に意識しておかなければならないのは、連結納税が適用されるのは法人税のみであるということです。住民税と事業税については従来通り個社別の計算となるので、(特に回収可能性を判断する際に)話がややこしく感じられますが、連結納税を採用している場合であっても、各社別に従来の別表四ないし別表五の一に相当するもの(別表四の二付表、別表五の二(一)付表一)は作成されます。
したがって、理解しやすいと思われる、連結納税会社(個社ベース)の税効果から確認することにします。なお、私だけかもしれませんが、連結納税会社というと親法人なのか子法人なのかがイメージしにくい以下では連結納税会社を個社(ベース)、連結納税主体を連結親法人あるいは連結納税グループとします。
(1)個社での税効果の計算手順
①別表四の二付表・別表五の二(一)付表一で把握された一時差異に対して個社で繰延税金資産および繰延税金負債を計上します。
②繰延税金資産の回収可能性を判定し、回収不能額については繰延税金資産から控除します。
(2)連結親法人の税効果の計算手順
①個社で計算された繰延税金資産・繰延税金負債の金額を合計します。
②連結財務諸表を作成している場合は、連結親法人に係る連結財務諸表固有の一時差異に対して、当該差異が発生した個社ごとに税効果を認識し、繰延税金資産及び繰延税金負債を計算する。
連結財務諸表固有の一時差異は、棚卸資産等の未実現損益、土地等の未実現損益、債権債務の相殺消去に伴い減額修正される貸倒引当金、加入時の連結納税子会社の資産の時価評価損益等を意味します(「連結納税制度を適用する場合の税効果会計に関する当面の取扱い(その1)Q1」。
③繰延税金資産のうち、法人税に係る部分については連結納税グループ全体で回収可能性を判断し、住民税又は事業税に係る部分については個社ごとに回収可能性を判断した上で各社分を合計する。回収が見込まれない税金の額については連結財務諸表上、繰延税金資産から控除する。
なお、連結財務諸表を作成しない連結納税親法人についても同様の手順で計算を行うとされています。といっても連結財務諸表が作成されないので、上記②の手順は不要になると考えられます。
日々成長。