連結納税(その8)-Current Taxの記帳方法
“連結納税(その7)-税額計算の全体像”というエントリで計算された税額の記帳方法については「次回」としながら長期にわたり放置していたことに気付いたので年内に片づけておくことにします。
連結納税を採用した場合、計算された税額は最終的に連結親法人が納付することになります。連結子法人に帰属する連結法人税額については、平成22年税制改正前は法人間で精算を行わないと寄附金に該当するものとされていましたが、平成22年改正により連結親法人と連結子法人の間で精算を行うことは任意となりました(グループ法人税の取扱いとの整合性を保つため)。
しかしながら、会計上は「連結納税を適用する場合の税効果会計に関する当面の取扱い(その1)」(実務対応報告第5項)A17.(2)①および②に従って連結子法人に帰属する法人税額について未収・未払計上を行わなければなりません。
したがって、親法人・子法人でそれぞれ以下のような処理が必要となります。
(1)連結親法人の処理
①国に対する未払法人税等
連結納税の場合、連結親法人が国に対して法人税の納税義務を負うので、以下の仕訳を計上する必要があります。
Dr)法人税、住民税及び事業税 XXX Cr)未払法人税等 XXX
②連結子法人に帰属する法人税額
1)子会社の連結法人税個別帰属額がプラスの場合
Dr) 子会社未収入金 XXX Cr) 法人税、住民税及び事業税 XXX
⇒単体納税の場合に子会社で課税所得が生じているイメージです。つまり、親法人が納税した税額の一部は子法人が負担すべきなので親法人の税金費用を減額し子法人に対する未収を計上することになります。
2)子会社の連結法人税個別帰属額がマイナスの場合
Dr)法人税、住民税及び事業税 XXX Cr)子会社未払金 XXX
⇒単体納税であれば繰越欠損金となるところを、課税所得が生じている他の法人がその損失部分を利用し税金費用を減額する効果を享受したので、もともと損失を計上していた会社に対してその分を支払ってあげるというイメージです。
損失を計上している会社に対して未払が計上されるというのがイメージしにくいかもしれませんが、繰越欠損金を買った代金と考えてもいいのではないかと思います。あるいは、単純に上記1)の反対と理解しても問題はないと思います。
上記の処理の結果として、連結親法人の個別財務諸表の「法人税、住民税及び事業税」は連結親法人の連結法人税個別帰属額が計上されることになります。
なお、地方税については単体納税の場合と同様で、仕訳としては①と同じ仕訳となる。
(2)連結子法人の処理(Current Tax)
連結親法人と対極の関係にありますので、詳細な説明は割愛しますが、以下のような処理が必要となります。
子会社の連結法人税個別帰属額がプラスの場合
Dr) 法人税、住民税及び事業税 XXX Cr) 親会社未払金 XXX
子会社の連結法人税個別帰属額がマイナスの場合
Dr) 親会社未収入金 XXX Cr) 法人税、住民税及び事業税 XXX
地方税については単体納税の場合と同様です。
連結納税の場合、法人税を納付するのは連結親法人となりますが、連結子法人においても最終的な表示科目としては「親会社未払金」ではなく「未払法人税等」を用いるのが一般的です。
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