耐用年数の短縮特例の通達が改正・新設されました
国税庁から平成23年12月21付で「法人税基本通達等の一部改正について(法令解釈基本通達)が公表され、耐用年数短縮特例に関連する通達が改正・新設されました。
これは「会計上の変更及び誤謬の訂正に関する会計基準」に対応して、平成23年6月の税制改正により法人税法施行令が改正されたことに対応するものです。
最初に、耐用年数の短縮特例(法人税法施行令57条)の内容を簡単に確認しておきます。
耐用年数の短縮特例とは、税務上、実際の耐用年数が法定耐用年数に比べて著しく短い(おおむね10%以上)ことが明らかになった場合に、所轄国税局長の承認を条件として、承認を受けた短い耐用年数を用いることができる、というものです。
平成23年6月の税制改正での改正点は、国税局長の承認を受けた「未経過使用可能期間」をもって法定耐用年数とみなすことにより,将来にわたって減価償却費を調整することとされた点です。
従来は、取得時から更新・廃棄が見込まれる時期までの期間として国税局長の承認を受けた「使用可能期間」を法定耐用年数とみなして、変更前後の法定耐用年数で計算された償却額の差額を臨時償却(陳腐化償却)として処理していました。
これが、平成23年6月の税制改正により、使用可能期間のうち申請時点においていまだ経過していない期間(未経過使用可能期間)をもって法定耐用年数とみなすとともに、承認日の属する事業年度開始の日における帳簿価額をもって承認以後の償却限度額の計算の基礎となる取得価額とされたことにより、将来にわたって減価償却費が調整されることとなりました。
上記の改正に対応して法人税法基本通達7-3-20の2(機械及び装置以外の減価償却資産の未経使用可能期間の算定)が新設されました。
税制改正により「未経過使用可能期間」というものが設けられたので、上記通達により、『「未経過使用可能期間」は、当該減価償却資産につき使用可能期間を算定しようとするときから通常の修繕補修を加え、通常の使用条件でしようするものとした場合において、通常予定される効果をあげることができなくなり更新又は廃棄されると見込まれる時期までの見積年数(1年未満の端数は切り捨てる。)による』と定められました。
なお、上記の考え方自体は、基本通達7-3-20で定められている「使用可能期間」と同様のものとなっています。
機械及び装置および総合償却資産については、法人税法基本通達7-3-21の2(機械及び装置の未経過使用可能期間の算定)が新設されました。
すなわち、『「未経過使用可能期間」は、個々の資産の取得原価を償却基礎価額とし、7-3-20に準じて算定した年数を使用可能期間として、耐用年数通達1-6-1の2に従って算定した年数による』とされています。
ここに出てくる耐用年数通達1-6-1の2(総合償却資産の未経過使用可能期間の算定)も新設されたものですが、未経過期間対応償却基礎価額を算出して、その額を年要償却額(取得価額÷使用可能期間)の合計額で除した年数が未経過使用可能年数となるという内容です。
なお、「未経過期間対応償却基礎価額」とは、個々の資産の年要償却額(償却基礎価額を使用可能期間で除した額をいう。)に経過期間の月数を乗じて12で除して計算した金額の合計額を、個々の資産の償却基礎価額の合計額から控除した残額を意味します。
耐用年数通達1-6-1の2は「総合償却資産」についての通達ですが、単体の機械装置の場合は上記通達の「合計額」という部分を無視すればよいことになると思います。
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